フィリピン金融業界で創業年65超の老舗・ABキャピタルグループの概要についてお伝えしています。
ABキャピタルプライベートウエルスオフィシャルパートナー LCFP事務所
Contents
ABキャピタルの概要
- 正式名称・所在地・営業内容
- 過去のファンドの動き
- 財務諸表における安全性や健全性
- グループ会社とその概要
- ニュース
正式名称・所在地・営業内容
ABキャピタルグループの正式名称や所在地、営業内容は以下のとおりです。
正式名称
AB Capital & Investment Corporation ABキャピタルグループ
所在地
ユニット 1210-1212 およびユニット 1911-1912、PSE タワー 5th Avenue コーナー 28th Street、ボニファシオ グローバル シティ、タギッグ市 フィリピン
営業内容
投資運用・プライベートウエルス・投資銀行・株式仲介など
過去のファンドの動き
ABキャピタルグループが発行するABキャピタルバランスファンドについては、10年間で以下のような推移となっています。
ファンドの運用指針
保守で長期思考の投資家に向けて収益を確保。株式と債券をバランスよく組み合わせて分散的なポートフォリオを組み、60%のフィリピン国債と40%のフィリピン証券取引所の組み合わせでベンチマークを上回る目標設定。
財務諸表における安全性や健全性
どんな業界でもコロナあとの影響は大なり小なりあるものです。
フィリピンで創業60年を超える金融業界の老舗ABキャピタルグループについても、報告されている財務諸表の数字で健全性が明らかになると思われました。
企業の安全性の視点として営業利益率と負債比率を明らかにした上で財務諸表をご覧いただきます。
営業利益率=営業利益÷売上高×100=19.7%
営業利益の標準は0-5%程度、金融業は11%程度であれば優良と考えられています。あまりに高すぎて良いわけでもありません。
ABキャピタルグループの営業利益率の安全性を数字が証明していると言っていいでしょう。
負債比率=負債÷純資産額=60%
負債比率の目安は100~300%の間が健全性の標準。ABキャピタルの負債比率は極めて安全と言えます。
損益計算書PL(2021年分)
貸借対照表PL(2021年分)
公表されている2019~2021については下記PDFをダウンロードの上ご覧いただけます。
PDFをワードに変換するソフトでおすすめはこちらAdobeです。
グループ会社
ABキャピタルグループでは投資運用・プライベートウエルス・株式仲介・株式仲介部門といった4つのグループ会社があります。
AB Capital Asset Management & Trust
投資運用部門・株式や債券や高い格付けの外貨建て短期証券や国債などに投資する商品を管理。リテールだけでなく企業向けに特定のニーズにマッチするファンドの創造と管理を行います。
AB caipal private wealth
プライベート ウェルス部門・富裕顧客層に向け、自社商品だけでなく世界中の運用商品のラインナップが用意されています。ペソ建てだけでなく外貨建ての資産を保有することで、ポートフォリオの多様性や柔軟性が増します。
AB Capital Investment Banking
投資銀行部門・企業クライアント投資家へ向けたアドバイスを提供。総合的なアプローチで投資家の資産形成を最大化。
AB Capital Securities, Inc.
株式仲介部門・お客様にオンラインまたは対面によって企業調査と取引を提供。電子ウォレットである GCash との提携でお客様にどこにもないリーチを提供。
投資運用・プライベートウエルス・株式仲介・株式仲介部門とに分かれてそれぞれ専門性・顧客提供価値の向上を目指しているといった感じでしょうか。
ニュース
それではABキャピタルの数年のニュースをご紹介します。
GCashとPSEとの提携によりユーザーの株式市場参加が容易に
sorce:ABSCBN
2022年9月20日付け
フィリピン証券取引所・GCash(フィリピンの成人人口の8割超がダウンロードするモバイルウオレットアプリ)・AB Capitalの三社が提携し、モバイルアプリで株式を購入したり取引できる新しいサービスが開始されます。
この新たなサービスの名称はGStocks と呼ばれており、類似の既成サービス GInvestと一線を期し、特定銘柄を選択できる点が注目されています。
ABキャピタルのアントニオ・ペリケ会長は、以下のように述べました。
フィリピンの一人当たりの所得の60%に満たないインドでは、株式保有率はたったの5%。裕福になるための多くは、富を増やす機会へアクセスできるか否かにあるはずです。
無制限の空売りを
sorce:ビジネスインクワイヤ
2023年6月8日付け
ABキャピタルグループアントンペリケ氏は数十年にわたるフィリピンの株式市場の規制が慎重すぎることを前提に、以下のように発言しています。
例外はあるものの、指数銘柄は透明性・高い流動性・よく調査されており、公正な価値で取引されています。価格設定が誤っている可能性が高いのは、流動性が低い銘柄です。
空売りができる株式数を、企業の発行済み株式のうち10%に制限して小さな一歩を踏み出してみると、市場の流動性が向上します。適正な価格を見出したいならば、最後までやるべきです。
空売り業者が有名株の株価を下げたら、支配株主は喜んで購入するでしょう。
空売りは乱高下を誘発して価格変動を生み出すわけではありません。かえって流動性が高くなり、やがて価格急騰はおさまることが予想されます。
考えてみてください。合理性に欠けた熱狂の時代・つまりパニックの時代に、カラ売り業者は急落を防ぐように動き回るのが常ではないですか。
つまり空売り業者は実は株式市場の最大の友です。過大評価された株を通して悪徳業者を排除し、詐欺を見抜ける人です。
海外で最も有名な事例があります。エンロン、ワールドコム、タイコ、アダニとアイカーンです。
過度な評価額に警告をしたのは規制当局ではなく空売り業者であり、結局空売り業者は異常事態が起こる前に発見できるリソースがあるということです。この意味で、空売り業者は実際のところ公共サービスを行っていのも同然です。
まとめ
公認会計士事務所で勤務経験のある私から見て、数年にわたるABキャピタルグループの財務諸表報告書は極めて厳格な手続きによって作成されたものであることがわかりました。
躍進しているフィリピン経済の波に参賀する上で十分すぎる参考資料です。65年以上の創業で老舗中の老舗とあり、安全な資産形成をしたい方にマッチした企業でしょう。
ABキャピタルの健全性と安全性の根拠
- 財務諸表は取締役会の審査と承認を経て株主に提供されており、厳格かつ適切な手続きを踏んでいる
- 株主によって選ばれた独立監査人SyCip GorresVelayo and Co.によって以下のように宣言されており、この検査により以下の通り公平性が担保されている。
当社は監査に関連する倫理要件に従ってABキャピタルグループから独立して倫理的責任を果たしています。当社が入手した監査証拠は、当社の意見の根拠となるのに十分かつ適切であると考えています。
不正または誤謬による財務諸表の重大な虚偽記載リスクを特定および評価し、それらのリスクに対応する監査手順を設計および実施し、意見の根拠となる十分かつ適切な監査証拠を取得。
使用された会計方針の適切性と、経営陣による会計見積および関連開示の合理性を評価します。