2024年のアメリカ大統領選挙はドナルドトランプ氏が史上2人目の返り咲き大統領となりました。
アメリカ大統領は世界に対する影響が大きいので、ここでは今後を見通せるようにデータを交えながらアメリカ株・日本株・為替レート予測しています。
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2024年アメリカ大統領選挙後の日米どうなる
アメリカ大統領選挙後のアメリカと日本は以下のように予測できます。文字面だけ見ると楽観的に見えるかもしれませんが、以下データでこれらの背景を明らかにしていきましょう。
アメリカ
- アメリカ経済:減税・関税強化・不法移民政策強化で好景気、インフレ率はゆるやかに上昇
- 金利や10年米国債:4-5%程度の金利が残り続けるが、それ以上にはならない
- アメリカ株:短期と中期ともに上昇
日本
- 為替レート:円安ドル高傾向が慣例だが、トランプ氏が望む円高ドル安が進行する可能性大
- 日本株:米国株に連動して上昇
予測に過ぎませんが、データに基づいて今後の見通しを立てるならば、焦っておかしなアクションをせずに済むはずです。
アメリカ
トランプ氏が掲げた公約で重要な項目をいくつか挙げてみたいと思います。
トランプ氏が掲げた主な公約
- インフレの終焉と金利引き下げ
- 不法移民政策の強化
- 数兆ドルに及ぶ減税
- ウクライナ戦争を終結させる
- 関税:中国の輸入については高い税率を設定
※ほかトランプはもともと「円高ドル安」派です
※公約に限らずトランプ氏はつじつまが合わない発言をすることがよく指摘されています。例えば、一般的に減税すればインフレリスクは高まるものです。
さてこれらのトランプ氏の公約を踏まえながらまずはアメリカ経済の見通しを立ててみましょう。
アメリカ経済
2024年11月22日のニュースで上下両院共和党が過半数と報じられました。これによってアメリカ経済の好景気を期待できるかもしれません。
上下両院共和党過半数で起こりそうなこと | |
景気 | 好景気 |
インフレ | 急激なインフレ率上昇にはなりにくい |
個人所得減税延長と法人税の減税からの影響 | 景気底上げ |
関税引き上げと不法移民政策強化による影響 | インフレ率が上昇に転じやすいが急激には上がらない |
公約通りに減税が行われ、関税強化によって国内経済の保護が強化されたならば、アメリカ経済は回復していく見通しです。
アメリカの金利・10年国債
金利や10年米国債はどうなるでしょうか。こちらを検証するために上のグラフで「2024年7月以降の10年米国債の金利と、アメリカ大統領選挙の関係」をお示ししました。
ココに注目
トランプ氏の当選後にさらに金利が上昇しているのは、アメリカ大統領選挙の結果を織り込み済みの結果です。
これらを牽引したのも、意外と悪くなかったアメリカ経済にあるのではないでしょうか。直前の8月の製造業景気指数ISMに過剰に反応した人が多かったように思いますが、今から振り返るとそこまで悲観する程度でもなかった気がします。
アメリカ株
アメリカ株はどうなるでしょうか。これについては過去アメリカ大統領選挙後のアメリカ株がどのように動いたかを振り返ることで今後の推測してみたいと思います。
以下はアメリカ大統領選挙の投票日を起点とした米国株の推移です。1980年以降の大統領選挙後のアメリカ株の全平均の推移が緑の線となります。
1980年以降のアメリカ大統領選挙後で、5ケ月弱の短期間でアメリカ株は順調に上昇しています。
それではもう少し長期ではどうでしょうか?
以下過去11回の大統領選挙後2年間のアメリカ株の推移を示したグラフを見ると、大統領選挙選挙後は直前の緊張状態から解放されて上昇(リリースラリーと呼ばれる)する傾向に転じています。
大統領戦後3ケ月過ぎたくらいで一端下がっていますがその後上昇に転じるようです。
ココがポイント
今回のアメリカ大統領選挙から3~4ケ月過ぎた2025年の2月か3月あたりにアメリカ株の下落が予想されますが、慣例のままですとその後は上昇していく見込みです。
今回のトランプ氏の返り咲きは圧勝だったこともあり選挙直後にあまり荒れ相場にならずに済んだという見方ができそうですが、2025年の2月か3月は慣例によるとアメリカ株が下落する見込み。ネガティブになり過ぎませんようご注意ください。
アメリカ株全体の動きは以下のとおり。
業種別のアメリカ株のうち、ハイテク株についてお伝えしてみましょう。
AIなどハイテク株
AIは海外からアメリカへと収益と税収をもたらす源泉として見られていますので、今後のアメリカ経済において半導体産業は引き続き手厚く保護される対象であり続けるでしょう。
一方アメリカでEV車を扱う企業については、いくらハイテク株であっても「今後のEV車の見通し」抜きに語れません。個々考えていく必要があるのは言うまでもないでしょう。
ハイテク株のうち半導体産業株については2024年8月の日米の株価を乱高下させた一因とも言われます。あまりに株価価値が膨らんで猜疑的になってしまった株主が一斉に売りに走った結果と見る人もいるほど。今後も半導体産業株については注視が必要です。
日本
今後の日本への影響はどうなるでしょうか?気になる為替レート・日本株について見て行きたいと思います。
為替レート
ココに注目
上のグラフは1980年以降のアメリカ大統領選挙後の為替レートです。1996年以降の7回のうち6回が集中して大統領選挙後の翌年に円安ドル高になっています。
上の表は「アメリカ大統領選挙後に円安ドル高」に転じたというデータに過ぎません。一方でトランプ氏は日ごろから円高ドル安を望んでいますので、少なくても1996年以降レベルの円安ドル高には転じないのではないかと思います。
お金の値動きには、このようにはっきりした根拠もロジックがあるわけでもないけれど、関連性がある事象が現れることがあります。
大統領が為替レートを動かせるわけではないのですが、アメリカ大統領の発言は影響力が大きいので今回の選挙後為替レートで日本円がどのように動くか注目です。
ポイント
日米の為替レートは日米間の金利差に大きな影響を受けますし、日本で利上げされたとしても金利差は4%は残るでしょう。となるとトランプ氏が望む円高ドル安が進行したとしても「1996~2010年頃まで続いた1ドル110円前後」には突入しないのではないかと予測できます。
また、2024年の日本銀行による為替介入は4月末と7月でした。1ドル160円になるとそれを阻止するように10兆円レベルの為替介入をする傾向があるようで、円安が進み過ぎれば今後また日本銀行による為替介入はあり得るでしょう。
日本株
アメリカ大統領選挙後、日本株はどのように影響を受けるでしょうか?
少々専門的ですが参考となりそうなのが、ヘッジファンドによる動きです。
以下は2004年以降のヘッジファンドによる世界株を巡る動きを表したグラフで、「買われたまま未決済の株」が積み上がった状態を表しており、この状態では株価上昇の可能性が見込まれます。
当然ながらアメリカ経済や株式市場に大きな影響を受ける日本では、以下のように同じ時期にほぼ同様に株価が動きました。
米国大統領選挙後の日本株の動き
アメリカの株価に大きな影響を受ける日本株についても、今回の大統領選挙後に連動するように上昇が見込まれるのではないでしょうか。