退職金で不動産投資をしようとしている人に向け、筆者が見てきた成功パターンや収益化するうえで知っておきたいポイントを6項目ご紹介します。
退職金の運用でいろいろと考えられていると思いますが、不動産投資はうまくいく人もいれば、失敗して痛い目にも合ってしまう場合もあるので参考にされてみてください。
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退職金を不動産投資に回す成功パターンはこれ
絶対と言うわけでもないですが、筆者が多くの退職者の方の話を伺ってきて「退職金を不動産投資に回して成功するパターン」はあると感じるようになりました。それは以下のとおりです。
退職金を不動産投資に回して成功する流れはこれだ
- 退職する前(少なくても50代前半)に敢えて住宅ローンを組む
- 家賃収入で住宅ローンの返済
- 任意のタイミングで退職
- 万一の空室の時に退職金からローン返済分を拠出
念押しで申し上げますが、上のパターンが絶対なわけではありません。退職金は万一のための資金であり、主な使い道は退職後の生活資金となります。
住宅ローンは50代後半以降使えなくなる可能性が高いのですが、少なくても50代前半の内は見込みはあります。住宅ローン利用者の30%は50代と言われますので不安に思う必要はありません。
また、住宅ローンでは団体信用保険に加入するのが必須です。万一死亡された場合は保険からローンが完済されますので、わざわざ死亡リスクを飲んでまで不動産購入のために退職金を全額一括投資するなどといったパターンを歩まなくてもよくなります。
活用できる制度は活用しておこうという感じでしょうか。
退職金を不動産投資に回して収益化したいならば
退職後は生活費を取り崩していくわけですから、資産が減るのはごく当然のこと。
そしてインフレ率が上昇、さらに円安が進行しているため、「退職金を収益性資産として運用」しなければ資産価値が目減りするのもごく当然に起こりえる話です。
収益性資産として不動産投資を活用するならば、以下を参考にされてみてください。
不動産投資をしたい理由は何かを明確に
「退職金運用は不動産投資がいいと聞いて」などと言った理由で、本格的に不動産運用を考え出す人もいらっしゃるでしょう。
しかしここで敢えてなぜ不動産投資をやってみたいのか、自発的な理由を考えてみることをおすすめします。そしてどれほどの成果を出せたら満足なのかを明確にしましょう。
考えてみれば投資分野では、株式・投資信託・EFT・債券といったように不動産とは異なる銘柄があります。
それぞれの銘柄が個々固有のリスクがある中で、不動産は補修が必要ならば自分自身で行う必要があったり、究極自己責任です。
よくわからないで不動産投資に踏み込むと、よくありがちなパターンで「説明されていなかった」といったようになりがち、後悔しかねません。自己責任の世界が前提ならばとことんわかるまで不動産投資の世界に没入してみましょう。
ココがおすすめ
決して不動産投資がおすすめできないというわけではありません。金融所得課税が強化される中で、大きな節税効果を得られるのは「不動産投資を使っての減価償却だけ」と言われるほどですからむしろ希望の星と言えます。
事前調査
さて不動産投資を行う上で、以下を事前調査のポイントとして知っておくと便利です。
事前調査のポイント
- 駅から徒歩10分圏内
- スーパー・コンビニ・ドラッグストアなどが近い
- オートロック
- 周辺の物件で賃料と空室率がいかほどかを調査
- 周辺に大学がある・単身のサラリーマンが多い
- 周辺の管理費や修繕費積み立ての相場
この事前調査のポイントを深堀するほど退職金を活用した不動産投資は成功しやすいでしょう。
なぜそう言えるのか最もリアルな話をしますね。
不動産投資で1室を投資物件とするとします。一室10万円の賃料で管理費などの負担が月3万円であれば、収益は7万円です。
空室が出たら収益はありませんが、月3万円のコストは発生します。
空室が出たとしてもすぐに埋まればいいですが、上のつ6つのポイントを外せばなかなか埋まらないのも想像に難くないはずです。
不動産投資で3室を投資物件とするとどうでしょうか。一室あたり10万円の賃貸料、管理費などの負担が月9万円の場合、手元に残るのは月21万円です。
2室の空室が出ると家賃収入は10万円となり管理費などのコストは変わらないので手元には1万円しか残りません。
例として挙げているだけですが、事前調査の詰めが甘いと上のようなパターンが起こりえるだけです。しかし実にリアルですよね。。
こうしたリアルな話をすればいかに事前調査を深堀しておくことと、不動産投資の世界に自ら没入しに行くことが重要か分かると思います。持ち出しが出る可能性もありますので必死になって事前調査しないといけないというわけです。
住宅ローンの相談をしに行く
現在は上のように物件探し中でもローンが組めるかどうかがオンラインで分かってしまうサービスもあって便利です。こうしたサービスを活用してみてもいいかもしれません。
物件が本決まりしたならば住宅ローンの相談をしに行きます。事前審査を受ける場合の持ち物としては以下で十分でしょう。
住宅ローンの事前審査に必要な持ち物
- 前年分の源泉徴収票(収入確認ができる書類)
- 会社の総務から試算してもらった退職金受け取り予定額が分かる書類
- 自身の住宅ローンの返済状況が分かる書類
- 身分証明書や健康保険証
- 物件情報
- 資産状況がわかる書類(残高証明書など)
退職金を数年後に受給するという情報を出すのは必須、そして左のようなプランで不動産投資する予定であることも伝えておきましょう。
上のようなパターンを進めつつ、かつ事前調査が綿密で誤った方向でなければ不動産投資は多かれ少なかれ軌道に乗るはずです。
ココがおすすめ
そして何より退職金は万一の時の奥の手の資金として活用し、退職後の生活資金として活用できるという気持ちの余裕も担保できるのではないでしょうか。
退職後に開業を目指す人もいます。不動産投資に関しては物件の選定を誤らなければ開業よりもはるかに成功のハードルが低いというのが、2011年から事業家となった筆者の実感でもあります。
退職金を元手に不動産投資をした人の例を知っておく
以下は不動産投資で成功している55歳の知人談です。彼の話だとやはり若いうちから不動産投資をやっておいた方が有利ということを実感させられます。
30代後半から不動産投資をしており、会社の役員として勤務中でいつ退職してもいいほど一生お金に困らない状態を作り出しているそうです。
こんな賢く先見の明がある30代後半はそんなにいるわけでもないですが、50代の早期退職を検討する世代の例を2つご紹介します。
早期退職時に退職金全額を不動産投資に回さず成功したパターン
50代半ばで早期退職を決意、退職金から頭金は出したが残りの2/3はローンで返済。当初は収益をローンの返済に回したが、5年後の返済からすべて定期収益の状態に。
他は以下のようなキツイお話も伺ったことがあります。
退職金全てを不動産投資に回して逃げ道がなくなってしまうパターン
退職金を一括購入のための資金に活用。当初の家賃より下げてようやく入居者が見つかるが、不動産投資の収益がローン額を下回り赤字に。売却を検討したが購入時の20%でしか売値がつかず、結局相当な損失額を出してしまう。
ココに注意
こちらの例の場合、収益を圧迫したのは収益を上回ったローン返済だけが理由ではなく管理費負担です。事前調査の詰めが甘いとこうした辛いパターンになります。
退職金を一括マンション購入資金にしてしまうと、いざとなったときに即現金化できないため「手元資金を枯渇」させてしまいかねません。退職金をすべてつぎ込むような不動産投資は避けたい一例でした。
不動産投資のメリットとデメリットを知っておく
退職金を不動産投資に回すメリットとデメリットを知っておきましょう。
退職金を不動産投資に回すメリット
不動産投資の大きなメリットは以下のとおりです。
①減価償却で節税できる
不動産は経年劣化によって不動産価値が減少するもので、これを減価償却費として計上すると大幅な節税効果が得られます。
会社員としての給与と不動産投資からの収入や減価償却費やその他の経費を損益通算すると、高所得の方ほど節税効果が実感できるのではないでしょうか。
例えば3000万円のワンルームマンションの減価償却費は3000万×0.022=66万円です。
この額が毎年給与と不動産投資の合算の収入から経費として差し引くことができ、退職後であろうとなかろうと節税に活用できるのです。
鉄筋コンクリートのマンションならば15年はこの金額を毎年経費として計上できます。
増税が強化されている中で、この減価償却による節税が一番効果を実感しやすいと考えられています。
②相続税対策になる
不動産は路線価などにより評価額が低くなりがちなので、相続税対策に向きます。
現預金はその額面金額がそのまま評価額になりますし、また相続税は強化傾向にありますので不動産はこの点で有利です。
③現物投資のため手元に残る
不動産投資は現物投資のため、手元に資産が残ります。
投資物件として購入したとしても、ライフスタイルの変化などで実際自身が住むこともできますし、上述のように子供や孫などに相続することも可能です。
退職金を不動産投資に回すデメリット
不動産投資のデメリットは以下のとおりです。
短期で利益を上げたい人は以下のように海外不動産投資でキャピタルゲインを狙うのがおすすめです。
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