
退職金でアパートの不動産投資をすれば老後は安泰!そんな不動産業者の甘い言葉を信じる人は後を絶ちません。
2026年日本の不動産市場は焼野原と化し、資材高騰・深刻な人手不足・円安で積立修繕費は数倍に膨れ上がり、国内の不動産物件を持つことが負動産化する時代になっています。
一方で退職金による海外不動産投資をしようとすれば、現地のプロですら白旗を上げるエリアも存在します。本記事では日本・ハワイ・アメリカ・フィリピン・イギリスの5カ国の「現在進行形の事実」を冷徹に鑑定します。
これが退職金で不動産投資する時の鉄則
退職金を不動産投資で活用してみようと思った目的を深堀してみることは想像以上に重要です。
端的に収益化できそうだから、というだけでは不動産投資は挫折に終わります。不動産は補修が必要ならば大家である自分自身が手間もコストも負担しなければならないからです。それではこの基本以外の退職後の不動産投資の鉄則を4つお伝えします。
退職金で国内の不動産に一括購入投資はやめておこう
住宅ローンの借り手の30%は50代というデータがあるとおり、50代前半であれば住宅ローンは組めます。
退職金を一括で不動産投資に充てて資産を費やしてしまえば、いざ空室になったときに「住宅ローンを退職金から拠出できる奥の手」は使えなくなります。
現在の住宅ローンに付加される団体信用保険は、三大~五大疾病の特約などもついており、万一の際は支払いが免除されご家族への保障も確保できるようになっていますので、わざわざ手元の退職金を減らして身をリスクにさらす理由はないでしょう 。
時間軸を冷徹に意識:50代・60代が陥るデッドライン
退職金で不動産投資するには年齢という期限があることを冷徹に意識しなければなりません。
不動産の売却活動については半年〜1年かかることもあります。退職してから20年以上が過ぎ80代前後になった時に流動性に乏しい不動産がメインの資産になっていては困り、体力気力的に厳しくなることを想定しておきましょう。
契約や制度をよく知って利用する:サブリース契約やクラウドファンディング
所有者と賃貸人の間に不動産会社が入るサブリース契約では、投資効率は想像以上に下がりやすいので注意。
サブリース企業が大家さんからアパートなどを30年間借り上げ、賃貸の転売を行います。空室があったとしても保証賃料を受け取れる仕組みをしていますので一見魅力的に思えます。
しかし30年間同じ保障賃料ではありません。契約書にはたいてい二年毎に賃料の見直しについて言及されています。当然ながら経年劣化した30年後には当初の保障賃料を下回る手残りにしかなりません。
日本の借地借家法では借り手(この場合サブリース会社)が手厚く保護され、サブリース契約自体容易に解約できないようになっており、多額の立ち退き料を請求されるなど不利な条件が盛り込まれています。
場合によってサブリースが合理的である場合もありますが、信頼できるエージェントや管理体制が整った物件を選ぶことが最大のリスクヘッジになることが多いように思います。
不動産会社に対して出資して配当を受けるといったクラウドファンディングについては、元本割れしない保証もなければ、税制面でのメリットもなく、中途解約がほぼできずトラブルも増えています。ここに投資するくらいならシンプルに株式投信など伝統的金融商品にした方が気楽で手続きも楽です。
日本以外の国に資産を持つことを視野に入れる
弱くなり切った日本円だけでなくアメリカ・イギリス・新興国など海外の経済状況や法制度などから保有しておくことも待ったなしで考えさせられる時代です。
一方で海外不動産を持っていても、家賃を毎回円に戻して日本の銀行口座に送金していては為替手数料とインフレで確実に価値が削り取られます。
不動産購入と同時に開設できる口座ではデビットカード兼キャッシュカードを発行する銀行が増えていますので、アメリカドルのまま、イギリスポンドのまま「海外に置くという資産防衛の導線」を確保しておきます。これができれば日本経済がどうなったとしても日本に直接影響を受けないインフラを構築できたことになります。
日本 VS 海外4カ国であなたの目的に合致する不動産投資を比較
このインフレ円安時代に不動産投資を日本だけに限定する必要もありません。海外に資産を物理的に分散させることで国内に押し寄せるインフレに耐性を高めることもできます。
以下より日本・フィリピン・ハワイ・アメリカ・イギリスに分けて解説しますので、退職金による不動産投資の目的に叶うスタイルを模索してみてください。
日本:空室率は上昇するが管理費修繕費が2倍に高騰
国内での不動産投資は甘い世界ではなく、レッドオーシャンを通り過ぎた焼野原同然。かつてもてはやされた駅近物件はもはや利回りで買い求めるものではなくなっており、表面利回りですら3%台が当たり前、投資とは程遠い負動産になりつつあります。
それも2026年現在建築業で深刻な人手不足と建築資材の高騰が起こり、管理費・修繕積立金が従来の1.5倍〜2倍に跳ね上がるケースは当たり前になってきました。
条件がわずかでも劣る物件は家賃を下げても入居されませんが、所有者の支払う管理費・修繕費だけは上がり続けていますので、結局手出し金が多くなっています。
しかしながら国内で退職金による不動産投資を行う場合、勝ち筋パターンがないわけではありません。それは以下のようなパターンです。
- 退職直前の信用力で融資を引き、低金利でレバレッジを効かせる
- 投資家同士で転がすマネーゲーム物件ではなく、実需層に活用されるピンポイントな立地
- 国内不動産は相続対策やキャッシュフローの安定化目的で、売却益は海外不動産で狙うと割り切る
フィリピン:条件を満たす一握りの物件を狙う情報戦
コロナ前までのフィリピンは、誰もが転売による不動産投資で成功する夢のような国でした。しかし現在のフィリピンコンドミニアムは供給過剰により完全なる買手市場。
安く購入できると持て囃されたプレビルド(完成前物件)の多くは、完成した瞬間から中古物件サイトで同じ間取りのユニットが大量に掲載され供給過剰に陥ります。かつての転売で誰もがキャピタルゲインを得られるような時代ではなくなっているのです。
フィリピンはASEANの中でも一番のGDP成長率で5.5%を超えていますが、購入して転売を予定する不動産価格が上がるかどうかはまた別の話。そんな中でも以下の3つが実現するのであれば、退職金による不動産投資は成功する可能性が高まるでしょう。
フィリピンの不動産投資の成功条件
- 都合により売り出し中の中古の優良完工物件:新築の半値近い金額で指値購入すれば利回りは確保できる
- 誰が管理しているかで選ぶ:日系企業の駐在員が指名したくなる管理クオリティが維持されている
- BGC:計画された都市・無電柱化・治安良好でメトロマニラ圏内でも別格中の別格のエリア。富裕層が住みたがる
現地のプロたちですらフィリピン不動産の転売神話は終わったと白旗を上げている中で、狙い目は確実にドルの賃料を吐き出し続ける一握りの実需物件です。情報がモノを言う中、フィリピン不動産市場情報をリアルタイムで伝える企業から情報を入手することが必須となっています。
ハワイ:収益化ではなく世界の富豪が持つ資産を米ドルで持つ防衛
ハワイ不動産投資で人気のエリアワードビレッジでは、スタジオ(ワンルーム)が1億円ほどの価格で取引されます。利回りは良くて4%前後、管理費や固定資産税などのコストを引けば手残りはごくわずかです。
それでも日本人投資家がハワイの不動産を購入したがるのは、収益目当てではありません。日本円という弱い通貨のまま資産を保てないと見切り、世界中の富豪が買い求めるハワイの不動産を米ドルで持つという防衛目的です。アメリカ大統領トランプ氏が円安は悪だと断罪している中、ハワイの不動産は最強の防衛資産になります。
世界中の富豪が買い求めると言う人気ぶりは変わりませんが、2026年現在買い手市場にシフトしつあります。以下3つの条件を厳守すれば、退職金で不動産投資する成功率は高まるでしょう。
ハワイ不動産投資の成功条件
- 非現実的な売却益(キャピタル)を狙うよりも、富裕層や駐在員が中長期で住み続ける実需に根付いた築浅不動産
- 着実に家賃が入り続ける資産の置き場所としての安定性を重視
- 立地:ワードビレッジ内
ホノルルではかつて1日ごとのバケーションレンタルが出来ましたが、現在は30日未満の短期貸し出しが厳しく制限されています。Airbnbのような観光客向け運用はすでに現実的ではありません。
以下の記事も大変参考になりますのでよかったらご覧ください。
アメリカ:法治国家のガラス張りのシステムが魅力
トランプ第二政権によりアメリカ経済はブレやリスクは高まりましたが、議論の的はそこではありません。アメリカは不動産所有者の権利を強力に保護する法制度を持っているという事実の方を注視すべきです。
トランプ氏自身は不動産ビジネス王であり不動産投資家にとって有利な税制(減価償却の特例など)や規制緩和は好まれやすく、アメリカ不動産所有者にとってはプラスに働くのではないでしょうか。
そして日本の不動産は新築と同時に中古扱いされますがアメリカ不動産は取引の8割が中古不動産で占めており、中古物件による節税対策としてもいまだに活用されています。
退職金で不動産投資する場合最も恐れるべきは流動性リスクですが、アメリカのフロリダ・テキサスなどの伸びている都市であれば、いつでもドルに戻せる安心もあります。
アメリカは州によって法律が異なっており、カリフォルニアのような「借り手を手厚く保護する州」では、たとえ家賃が滞納されていても退去要件にはならずオーナー側がが泣き寝入りするケースがあります。この意味で退職金を防衛する目的でテキサスなど「貸し手を手厚く保護する州」を選ぶとよいでしょう。
ハワイが情緒的価値や防衛で世界中の富豪に購入されているのに対し、アメリカ本土は法治国家のガラス張りのシステムに価値を見出している人が多いのです。
イギリス:ヴィンテージ物件を社会で保護し評価するからオーナーはほぼ売却と無縁
イギリス不動産は、日本のように新しいが最高・アメリカやフィリピンのような成長や勢い・ハワイのような華やかさが漂う雰囲気に気はありませんが、数百年にわたって世界の富裕層の資産を防衛してきた分厚い法整備があります。
イギリスにはグリーンベルト(開発抑制地域)や厳格な景観保護法があり、日本のように古い物件を大手ディベロッパーが買い取って新しいビルを建てるといったやり方が通用しません。新しい建物が容易に供給されないからこそ、既存の建物の価値が維持され続けるという、不動産オーナー側が極めて強いマーケットです。
築100年、200年のヴィンテージ物件がヴィクトリアン・ジョージアンスタイルなどとして高く評価されることが当たり前で、手入れすれば価値は上がり続ける本物の価値が通用します。退職金で買った物件が25年後に「古くて売れない」という扱いを受けるリスクが制度的に低いのです。
事実長く世界最高峰の大学の座を維持し続けるオックスフォードやケンブリッジといった大学がある学園都市は、世界中からエリート学生や研究者が集まり続け需要は絶えません。退職金投資で避けるべき空室リスクを、都市そのものへの需要がカバーしてくれます。
退職後の25年を不動産投資に託す上でイギリスの法やルールの不変性は、高利回りよりも価値があると見込める人も少なくありません。
現実的に日本のお客様達でイギリス物件を手に入れた方は9.5割以上がイギリス不動産を売却せずに保有し続けます。売る理由がないとおっしゃるのです。安定して家賃収入が得られる・退職後のキャッシュフローを生み続ける不動産を、さらに手数料を払ってまで売却する理由はないのでしょう。
まとめ
サブリース契約の30年一括借り上げ契約の注意で触れたように、銀行や不動産会社は「いかにも契約者が得をする視点」で話をします。
2026年現在の現実はシビアです。最弱通貨に成り下がった円で老後25年は耐性がありません。自分の資産の何割を、どの国の法制度の下に置いておくかという設計が必要な時代です。
弱り切った円通貨を握りしめて現状維持をしたつもりでも下がるだけです。外貨も取り入れて老後資金を増やしていきたいと決断できれば老後の資産防衛は以下のように融通性や可能性が広がります。
- 日本: 50代前半までの信用力と低金利を活用できるならあり
- ハワイ・アメリカ: 円というリスクからの逃避先。利回よりも最強アメリカドルによる資産防衛
- フィリピン(BGC): 供給過剰市場の唯一攻めが通じる場。中古の優良物件が吉。
- イギリス: 新築が建たない古さが価値。歴史と法制度で退職後が思わぬ生きがいになりえる。
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