退職後がかかっていますので、面倒だからという理由で退職金の運用するかしないかを放置する人はまずいません。
退職金の運用しないか、納得できる理由をお探しの方はこちらをご参考ください。
Contents
「退職金は運用しない方がいい派の意見」、失敗すると痛い目に合うからに過ぎない
「退職金は運用しない方がいい」と言っている人は、失敗すると痛い目に合うという理由で現預金で資産を保有することを提唱するケースが多いようです。
しかしその少数派の意見を真に受けて今どきの日本で現預金のまま資産を保有していればどうなるでしょうか?
まずはじめに退職金を運用しないと起こりえることを解説していきます。
退職金を運用しないと今後起こりえること
退職金を運用しないと今後以下のようなぞっとする惨事が起こるかもしれません。
- インフレと円安のダブルパンチで現預金の資産価値は驚くほど低減する
- 収益性資産に変えない限り、退職後の資金は減る一方
- 退職金を運用する失敗を恐れ資産価値の目減りを眺めるだけの日々は苦痛
インフレと円安のダブルパンチ・現預金の資産価値は驚くほど低減する
上のグラフは、1000万円を現預金で保有し、0.5~3%物価上昇が起きた場合の5~20年後の資産価値シミュレーションです。
ココに注意
3%の物価上昇が起きると20年後には資産は約半分になっています。現在の日本のインフレ率は2023年で3.1%・2024年で2.6%ですので、このシミュレーションはかなり現実的なパターンであることがわかります。
現在のインフレ率で退職金を運用せずに現預金で保持し続けると、資産は半分の資産価値です。ぞっとしてしまいますが、現在の日本のインフレ率から現実的に起こります。
このインフレによる資産価値の目減りが、退職金を運用しないと損をしてしまう一番の理由です。
インフレ率と同等かインフレ率より上を行くリターンを出している銘柄にすれば、少なくてもこのインフレによる資産価値の目減りは抑制できるわけです。
また円安ドル高については一進一退しているものの、「このまま100円台くらいの極端な円高になる」と思っている人はいないか、いてもごくわずかでしょう。
日本経済は増税や政策で力を削がれまくり、そして少子高齢化がそれに拍車をかけたら弱い円はさらに弱くなるしかないからです。
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現在の円安ドル高のおおよその理由は日本とアメリカで打っている経済政策の結果起きています。
国民が「国の愚策によって30年デフレを脱却できていない」と訴えたどころで変わりません。
日本という環境は資産形成をする上で大きな要因です。ですから一人一人気付いた人から「自助努力」で資産防衛と資産形成をするしかないというわけです。
収益性資産に変えない限り、退職後の資金は減る一方
お金が増えにくい人と、資産が増えやすい人の違いは、以下の通りシンプルに「収益性資産にしているかどうか」に尽きます。
現金のままにすれば当然お金は増えません。預金で資産を持っていたとしても年利は0.002%です。どうやっても増えません。
一方年利が2%超の収益性資産にすれば、そこにお金を置いておくだけで資産から収益が生まれます。複利で運用すれば、生まれた利息が元本に組み入れられ、翌年からまたその合算に対して金利が適用になり、複利の力を活用できるのです。
資産が増えやすい人が保有している銘柄はシンプルに債券・株や投資信託・不動産や純金・リートなどの収益性資産です。
退職後は定期的な収入がなくなって資産を取り崩しながら生活をするわけですから、収益性資産を持たない限り資産が減る一方になるでしょう。
もちろん「退職はそういうものだ!」と割り切れる方はそれで構わないのですが、「お金が無くなって気分がいいわけがない」と感じるようであれば、退職金を運用することを検討されてみてください。
退職金を運用する失敗を恐れ資産価値の目減りを眺めるだけの日々は苦痛
インフレによる資産価値の目減りはかなりシビアであることをお伝えしました。
ココがポイント
しかしながら収益性資産にすれば資産価値の目減りを回避できると知った方は、回避のアクションが取れるでしょう。
退職金を運用しないことを提唱する人の言い分として「失敗すると痛手を負う」というのは確かにそうですし、誰もそんな失敗をしたくないのは同じです。
ですから、ご自身の退職後のライフプランにご自身で向き合い、このサイトなどでお金の勉強をしつつ、わからないことは専門家に聞くなどして情報を摂取するしかありません。
究極ご自身の退職のマネープランを決断できるのも実行できるのもご自身しかいませんから、よくわからないままで資産運用に失敗したなどとならなければいいだけです。失敗を恐れて資産価値を目減りさせるだけなどそれ以上の愚策もないと言って良いほど。
退職金のおすすめベスト5と運用の準備とその後のリバランス
退職金を運用する上でどんな金融資産がいいのでしょうか? おすすめをランキング形式で5つご紹介します。
おすすめする理由は以下の3つのポイントからです。
この3つを脱却しながら退職金を運用してみよう
- 円安対策として円通貨資産率を下げる(日本の個人資産の97%が円通貨)
- インフレ対策として現預金率を下げる(日本の個人資産の50%超が現預金)
- 日本という国が抱えるリスクから資産だけを避難させる
退職金の運用おすすめランキング5選
さて上述の3つのポイントをクリアしている資産運用は以下の5つです。
- 海外銀行の定期預金
- 投資信託
- 米国債
- マイクロファイナンス会社の定期運用資産
- 海外のコンドミニアム
1位・海外銀行の定期預金
退職金の運用でおすすめの1位は海外の金融機関の定期預金です。※国内の銀行で預ける外貨預金ではないのでご注意ください。
これはかつて大富豪がモナコなどの海外銀行にお金を預けていたのと同じ手法となります。現在は別な理由で大富豪以外も海外銀行を活用するようになりました。
海外の金融機関の定期預金を利用する人が増えている理由とおすすめする理由は、日本という国が抱えるリスクによります。
以下コンテンツのように国家破綻が起こるならば、国内の銀行は影響を受けて自由にお金を引き出すこともままならなくなったり、以下の動画でアナリストが話しているように財産税によって国の借金を帳消しにする動きも考えられます。
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ある官僚による国家破綻のカミングアウト論文
ここでは他国の国家破綻の例としてロシアやアルゼンチンの例をお伝えしながら、いかに現代の日本に国家破綻が現実化しやすいかをご紹介します。 Contents1 国家破綻の事例1.1 ソ連・ロシアの場合1. ...
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▼TBSで報道されたアナリストによる財産税の詳細
わざわざ海外に資産を置く理由は、日本という国そのものが国民資産を減らしかねない状況ゆえです。このため日本政府の管理外に資産をおく人が後を絶ちません。
退職金であっても当然ながら不要に減らしたくないでしょう。
2010年以前までは海外銀行でかんたんに口座開設できていた時代は終焉し、専門家の助力や専門知識が必要な時代となっています。
2位・投資信託
退職金の運用でおすすめの2位はスタンダードな投資信託です。投資信託のうち、オールカントリーやS&P500といった歴史と実績のある銘柄に資産を預け、かさねてNISAの非課税制度を活用すればいいのではないでしょうか。
また、以下のように投資信託は保全機能も確立されており、退職金を預ける先としてより安心が得られるのでしょう。
資産運用の王道中の王道ではありますが、退職後の資産形成に心強い一択となると思います。
3位・アメリカ国債
退職金の運用でおすすめベスト3位はアメリカ国債です。
おすすめポイント
アメリカはこの先数十年の覇権と基軸通貨の地位をいずれの国にもゆずらない強さが顕在しています。
アメリカドル離れが起こっているなどと言われようと世界の通貨シェア率でアメリカドルは30年ほとんど80%程度で変わっておらず、この状況が覆されるには相当の期間が必要だと考えられます。
▼三井住友アセットマネジメントのデータより筆者作成
ココがおすすめ
さらにアメリカは自国通貨と自国通貨建ての国債を持っていますので、利払いが不履行になることもあり得ません。
アメリカに代わる覇権国候補は中国でした。しかしかつて好景気だった中国経済の3‐6割が不動産業で占められており、最大大手ディベロッパーの経営難(負債額3京円)が報告され事実上その経済は崩壊しています。
中国の経済復興が30年で叶ったら大ラッキーです。※日本はバブル崩壊から30年抜けだせていません。
こうした経済的な事情からみると、4%程度の金利が残る米国債はなお退職金の運用に向くと思われました。
4位・マイクロファイナンス会社の確定金利商品
退職金運用のおすすめ第4位はマイクロファイナンス会社の確定金利商品です。
おすすめポイント
東南アジア諸国ではマイクロファイナンスの利用が盛んで、躍進し続ける経済成長を背景に5-11%の確定金利商品による定期金融商品がよく利用されています。
5位・海外コンドミニアムによる不動産投資
退職金の運用でおすすめ5位は海外コンドミニアムによる不動産投資です。
現預金はインフレにかなり影響を受け、資産価値が目減りしやすくなります。逆にインフレに強いのが実物資産の不動産でした。
おすすめポイント
海外不動産の場合は売却すればキャピタルゲインが多く取れることが多く、賃貸に出せば日本の投資物件より利回りが高くなりやすいです。
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海外コンドミニアムを購入して不動産投資
タイのコンドミニアムのファサード 海外のコンドミニアムを購入して不動産投資をする日本人は増えています。 その国の経済状況で不動産価格も様変わりしやすく、そして不動産の商習慣や制度や法律も日本とは違って ...
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不動産資産に変わりはないので、将来的に賃貸に出して定期的な収入を得ることもできるし、将来変わるであろう日本の状況を見てご自身で住むのも良いでしょう。
不動産を保有するには数千万単位の余剰資金が必要ですので、すべての人に該当するようなおすすめ銘柄でもありませんが、将来的に躍進する東南アジアと衰退する日本を想像すれば損なることはないでしょう。
1~5位まで解説してきました退職金の運用おすすめについては、以下のコンテンツでかなり詳細を解説していますので、参考にされてください。
退職金を運用するまえの準備
退職金を運用する前の準備として以下3ステップを行ってみましょう。
step
1お金の出入りと資産負債をチェックしておく
退職金を運用しようとする前に、現在の収入・支出・負債と資産を明確にしておきます。
さまざまな入出金明細、これらを一つ一つ確認して支出や収入の額をはっきりさせておきましょう。明細を確認できるのは自分のみです。ほかの誰もできません。
グーグルのスプレッドシートなどで収入支出・資産負債を記録しておくと、関数やオンライン保存ができて便利です。
step
2
ステップ1で出した数字を下のコンテンツで入力し、退職後のマネープランが不足なく描けそうかをお試しください。
step
3どこまでリスクを許容できるかをはっきりさせる
次はどこまでリスクを許容できるかをはっきりさせます。
全資産の「何割失ったら精神的におかしくなりそうか」「何割失ったら終わったと思いそうか」を明確にします。リアルすぎてぞっとしますが、この自問自答が紛れもないご自身のリスク許容度です。
それぞれの銘柄はそれぞれのリスクがあります。
例えば仮想通貨はいつゼロになってもおかしくないです。ゼロになって夜も眠れなくなりそうだったら、他の資産に変えてポートフォリオを見直す必要があるでしょう。
退職金の理想的なポートフォリオってどんな?
さて退職金の理想的なポートフォリオってどんなものでしょうか?
上述しましたように、お金が増えにくい人と、資産が増えやすい人の違いは、「収益性資産にしているかどうか」でした。
資産が増えやすい人のポートフォリオとは2%超の収益性を生む投資信託・株・債券・リート・不動産や金などの実物資産で構成されています。
この個別銘柄の配分がポートフォリオを組むうえでの最重要課題になるわけです。
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早期退職の理想的なポートフェリオって?・3ステップで個人鑑定級レベルの精度
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退職金の運用開始後
さて退職金の運用を開始した後、ずっと何も手を加えないまま生涯放置していいわけではありません。収益性が延びた資産もあれば、マイナスになった資産もあるかもしれません。
満足の行くポートフォリオを当初汲んだとしても、そのような値動きがあれば数年後に見直しを掛ける必要があるでしょう。
このとき、また冒頭からお伝えしてきたような資産形成を繰り返せばいいだけです。
退職金の運用でプロや専門家に相談すべき?
退職金の運用では、必ずいずれかの企業を通して金融商品のご契約をする仕組みになっています。
また、これまでご退職までずっとそうであられたように人それぞれ専門分野があり、金融業においても全く同じように専門性は一般の方よりもはるかに高いものを持ち併せていますので、この意味で専門家に相談するというのは有意義な時間と習得があるものです。
弊社は退職金専門FPとして多くのお客様にご活用いただいております。ご興味がありましたらいつでもご相談くださいね。
退職金の受け取りに有利な税制を知っておこう
退職金の受け取りには以下のように3とおりの受け取り方があります。
- 一括受け取り
- 年金式で受け取り
- 一括と残額を年金式で受け取り
この受け取り方で課税額も違ってきますので、以下のコンテンツで参考にされてみてください。
こんな方法で退職金を運用しない・おすすめできない退職金の置き場所
さて退職金の運用で「これは積極的におすすめできない」という銘柄や方法もお伝えします。
これはおすすめできない退職金の運用
- 円通貨による現預金
- 国内金融機関の退職金定期預金プラン
- 貯蓄性保険商品
円通貨による現預金
もっと詳しく
上のグラフはその具体的な資産価値の目減りのグラフです。シミュレーションに過ぎませんが、現在のインフレ率からすると、遠からず「現実になる数字」です。
円通貨率を下げる意識を持ち、できるだけ外貨資産率を上げるように退職金の運用を検討していくような明確なアクションを取るべきでしょう。
国内金融機関の退職金定期預金プラン
国内金融機関には以下のようなキャッチフレーズで退職金定期預金プランがラインナップされていることが多いようです。
年利7% 3ケ月もの
ココに注意
リサーチしていると、三か月ものの超短期間による設定が圧倒的で、3・5年など中長期の商品がありません。
100万円を預けたら以下のような利息となることをご注意ください。
100万円 × 【7% × (3ケ月/12ケ月)】=3ケ月の利息は17,500円
3ケ月後の取り扱い
市場金利(まさかの0.002%)を適用して運用
ココがダメ
7%の利回りは3ケ月限定、3ケ月後は市場金利が適用されるようであれば、それは退職金の運用とは程遠いものになりませんか。
このような運用ならば、他にもっといい金融銘柄はあるでしょう。
貯蓄性保険商品
退職後ご自身のための運用・資産形成というよりは、相続として残すお金で貯蓄性保険を選ばれるならば節税になりますので良好な選択肢になります。
しかし退職金運用でご自身のための資産形成となるとあまりおすすめできないのが貯蓄性保険商品です。
ココに注意
提案される利回りのシミュレーションは5%程度で悪くない感じはするのですが、実際運用してみると30年近く時間をかけて複利で0.1~1.5%程度になることは多いように思います。
資産運用の視点で見ると確かに上のとおりなのですが、相続対策としては節税には向きます。
なお、「退職金運用でおすすめ1位」に挙げておりました海外金融機関の定期預金は、相続人との共同名義とすることが可能です。※日本の銀行口座の取り扱いで共同名義にはできないようになっていますが、外国の金融商品はそうではないだけ
「海外銀行の高利回りで増えた定期預金を、いずれ相続人単独の名義にできる」という性質をお気に召される方が割と多いように思います。