どうなるS&P500?人気米国株式のゆくえ・2024年秋からの展望

アメリカの大人気インディックスファンドS&P500の今後の展望について大胆予測しています。

S&P500は新NISA制度が始まった日本でもよく購入されている銘柄でもあり、かつアメリカ経済を色濃く映し出す銘柄で日本株にも強い影響がある銘柄ですので検証として参考にされてみてください。

さまざまなデータに基づいて検証していますが、筆者の個人的な意見も交じっておりますことをご了承願います。

S&P500のこれからの展望

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【S&P500のこれからを大胆予測】
「S&P500は株価が1.6倍に達するまで強気相場を続ける」。後述するとおり現在の株価6000から一時停止状態があったとしても、「上昇のための停止」に過ぎないはずです。

なぜ「S&P500は株価が1万円に達するまで強気相場を続ける」などと言えるのか、以下3つの視点でその背景や理由をお伝えしていこうと思います。

  • 2024年のS&P500
  • S&P500はどんな歴史的サイクルにあるか
  • 各産業とS&P500との関連性

2024年のS&P500

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2024年の上半期、S&P500はおよそ14%上昇しました。2023年と2024年はS&P500が始まって以来、TOP10に入る二年連続の上昇率だったそうです。

株式市場のサイクルとして8‐10月あたりの急落はよく知られています。もしかしたら、8月に起こった日米両国の株価の急落がそうかもしれません。

しかしながら、急落は上昇を底上げするような一時停止状態とも言えます。

S&P500はどんな歴史的サイクルにあるか

株価は15⁻25年ほど続く強気と弱気を繰り返すサイクルがあります。

S&P500がどんな歴史的なサイクルを繰り返してきたのか?下は1900年からのS&P500の動きを追ったグラフで確認してみましょう。

Standard and Poor’s’, Sanctuary Wealth

1976年に大統領選挙が行われており、下げと上昇を繰り返しながら2000年までにピークに達します。この25年間の間を仮に上昇期間と呼ぶとします。

世界の歴史的経済イベント

  • 1919年:世界大戦の終結
  • 1929年:世界大恐慌
  • 1942年:太平洋戦争
  • 1950年:朝鮮戦争
  • 1973年:変動相場制へ・第一次オイルショック
  • 1978年:第二次オイルショック
  • 1985年:プラザ合意
  • 1987年:ブラックマンデー
  • 1990年:日本でバブル崩壊
  • 2001年:同時多発テロ
  • 2009年:リーマンショック
  • 2011年:東北大震災

2007年にサブプライムローン問題が浮上、2008年にはリーマンショックが起こり、2000年からの10年間はきわめてボラティリティが大きくなっています。

ココがポイント

S&P500は2013年に再び強気サイクルに突入しており、現在に至るまで上昇期間が続きながら2030年頃には収束の弱気サイクルに入るかもしれません。

AI関連株がアメリカ市場を牽引し、さらに2024年に選出されたアメリカ大統領による経済的刺激も期待されて大きな収益が期待できるわけです。

S&P500の今後を推測したレポートsanctuary wealthでは、以下のように歓喜の打ち上げ花火について触れられているほどです。

So, expect the market to be celebrating with fireworks for some time.

各産業とS&P500との関連性

それでは各産業とS&P500との関連性を見て行きたいと思います。

テック関連株

テック関連株は2017年に目に見えて上昇し始め、2020年から著しく上昇し始めています。

Standard and Poor’s’, Sanctuary Wealth

ココがポイント

2020年に著しく上昇してから、2023年に急激に下がり、そこから再び上昇しているという流れは、S&P500の動きとほぼ一致しています。この点からも近年のS&P500はテック関連株が牽引の一因と言ってもいいほどです。

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テック関連株の中でも、半導体株に絞ってみるとどうでしょうか。

ココがポイント

2030年頃まで上昇が続くと予測できるアメリカ株を牽引するのは、テック関連株の中でもやはり半導体産業ならびにAI関連株が最上位にあると言って良いでしょう。

以下のようにアメリカからの半導体輸入は急増が止まることがありません。この先数年のうちに頭打ちとかそういったことは考えにくいです。

Bloomberg finance LP

以下アメリカの上場投信で半導体株を中心にしたVanEck Semi ETFで見ても、強気な相場をキープしていることがわかります。

VanEck Semiconductor ETF (SMH)

※個別株と上の”VanEck Semi ETFやS&P500のような指数”は必ずしも同じ動きになるわけではないことに注意ください。「S&P500=半導体関連株」ではありません。個別株企業の提供する価値が何かに目を向けないとただ投機的な意味合いになるだけです。

エネルギー関連株

次はエネルギー関連株について。

Standard and Poor’s’, Sanctuary Wealth

エネルギー関連株の近年の動きとして顕著なのは、2020年のコロナ時に著しく急落、その後ウクライナ侵攻があった2022にかけて上昇しているといった点です。

原油価格

hedge.guide

エネルギー関連株

hedge.guide

2024年に至るまで上昇しており、アメリカ株の上昇を担った関連業種の一つと言えるかもしれません。

S&P500のベースとなっているアメリカ経済の今

ここからはS&P500のベースとなっているアメリカ経済の今がどうなっているか、やはりデータで解説していきたいと思います。

経済成長

アメリカは1980年から40年超もの間年間2%超の経済成長を遂げてきました。ヨーロッパは1%程度ですから、アメリカの経済成長は革新的です。

以下のように事実アメリカはこの先数十年どんな国にも経済的覇権を渡さないだけの経済と軍事の力がいまだ健在しています。

次の覇権国候補として考えられる中国は不動産バブル崩壊後で3京円超の負債があると言われ、復活まで少なくても30年は要すると考えられているようです。

新興国のBRICSによるアメリカドル離れが進み、これらによるBRICS新通貨にも注目が集まっていますが、そう簡単に基軸通貨の地位が取って変わっているわけでもありません。

実質実効為替相場で見て米ドルの価値は一定です。

実質実効為替相場での価値の推移

外国為替市場における通貨別取引シェアでアメリカドルは他の通貨を大きく引き伸ばして45%程度を維持しています。

三井住友アセットマネジメントのデータから筆者作成

いまのところBRICS通貨はデータに上がってきてもいません。

ポイント

強力な経済基盤のゆえんは、「世界の時価総額上位の多くを占めるイノベーティブなアメリカ企業」にあると言ってよく、アメリカの衰退とBRICSによる交代はまだまだ先のようです。

後藤達也氏のXより

近い未来「BRICSに基軸通貨も経済覇権が渡る」ということならば、上の時価総額ランキングにもう少しBRICS諸国の企業が登場してもいいはずです。

少なくても2~3年の内にBRICSに覇権が渡るようなことはないでしょうし、上位を占めるアメリカ企業の数々を圧倒凌駕するような企業のうわさは耳にもしていません。

雇用

以下のようにアメリカではコロナ禍で失業保険申請件数は急増しました。ピークでは700万人です。

この背景には失業給付と言う形でアメリカ政府から多額の給付金が支払われていたことが考えられます。

Bloomberg

アメリカの失業保険申請件数は2024年になって180~190万人を推移しており、失業率は4%程度とされています。

日経新聞

2024年8月のアメリカ株の大暴落の一因に雇用統計への不安が挙げられていますが、年末に差し掛かってそれほど悪くなかったという見方がされるようになっています。

消費者物価指数

一時は9%までに上昇したアメリカの消費者物価指数は、2024年10月に2.6%に落ち着きました。

9月、これを受けてFRBは利下げを行い、さらに今後も利下げを予定しているようです。

10年米国債

FRBが政策金利を下げたからと言って10年米国債も同様に金利が下がっているわけではありません。

以下のように9月にFRBから0.5ポイント政策金利が下げられていながら、10年米国債の金利はそのタイミングで上昇しています。

ちょうどアメリカ大統領選挙でトランプ氏が巻き返しをしてきたタイミングと重なり、市場が10年米国債の金利上昇を望んだ結果と考えられているようです。

上の10年米国債の金利の動きと、2024年下半期のS&P500の動きはきわめて似ているのも興味深いです。

  • この記事を書いた人

LCFPO

公認会計士事務所での決算業務実務経験を経て、FPとして受けた相談件数は18000名以上。契約の継続率・販売力・商品の品質に関するインターナショナルクオリティアワードを受賞。ほか受賞歴や業界内の取材受注多。現職は資産形成・不動産投資案件やインフラ契約のご相談を承るオフィスの代表FP、事業家。くわしくは「about」よりどうぞ。