
利益体質の企業財務担当者はイギリス不動産の法人税のトピックに興味を示します。19%-25%という低税率の活用と、日英租税条約がもたらす『配当源泉税0%』という圧倒的な還流効率の差が存在するからです。
イギリス留学や公認会計士事務所勤務の経験があるFPの視点から、RICS鑑定によるエビデンス構築と、CFC税制をクリアする実体基準の作り方まで、イギリス不動産の法人税を巡る実務の正解を提示しています。
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非居住法人として英国法人税(19%-25%)を計算
イギリス不動産を法人で所有する場合、現地で法人税申告を要しますが、多くの財務担当者が計算構造のシンプルさと連結のしやすさに驚きます。特にイギリスの低い税率の恩恵を最大限に享受できる構造は日本の財務担当者はよく高く評価されるようです。
イギリスの法人税率は、利益水準(Taxable Profits)に応じて明確に区分されています。
イギリスの法人税率は利益額によって2段階
- £50,000(約1,000万円)以下:19%
- £250,000(約5,000万円)以上:25%
日本の30%程度の実効税率と比べ、実に税率差が5%〜11%と分かっている点は財務戦略上の大きなアドバンテージとなります。
日本同様にイギリスでは個人の所有者に対し、住宅ローン利息を経費算入させない仕組みになっていますが、イギリスも日本同様法人は経費算入可能です。ローン利息だけでなく、物件管理費や修繕費、RICS鑑定に基づく減価償却費などの経費を利益から差し引けるため、会計上の利益の調整が容易になっています。
日本法人がイギリスに不動産を所有して直接所有する場合も、現地子会社を作って所有する場合も、イギリスの賃料収入はイギリスで先に課税され、このイギリスでの納税額が日本での確定申告時に「外国税額控除」として二重課税を回避できるようになっています。
日英租税条約第10条の活用:配当源泉税0%のスキーム
日本企業法人財務担当者がイギリス不動産に強い関心を示すポイントは「配当源泉税0%」です。企業の財務戦略において利回りなどの投資効率と引けを取らないほど重要なのが「資金還流効率」。
日米租税条約第10条の中で、持分比率等の一定の条件を満たした場合源泉税は原則免除(0%)と定められています。
アメリカ不動産では10%〜15%程度、フィリピン不動産では配当源泉税10%・利息源泉税10%、といったように「現地で利益をだして日本に戻すフェーズで利益が削られるのが常識となっていますが、イギリスは明確に「配当源泉税ゼロ」。このとおりイギリスは日本企業にとって世界で最も資金還流しやすい国の一つです。
現地で課税された後の利益が源泉税無しで1円も削り取られず残った利益を日本へ戻せるだけでなく、「外国子会社配当益金不算入制度」とも極めて相性が良いです。日本側で二重に課税されるリスクを抑えつつ、グループ会社全体で実行税率の調整ができるはずです。
海外不動産投資で節税を試みる企業は増えていますが、その成功は売却益を日本でどう受け取るかで決まるといって過言でありません。イギリスでは源泉税0%の出口が決まり切っているからこそ、財務担当者は投資回収期間を正確に試算、経営陣に対して投資実行を上申できるのです。
CFC税制(タックスヘイブン対策税制)の回避ロジック
イギリスでの源泉税0%というポイントを突破しても、財務担当者が最後になお懸念するのは「日本での合算課税(CFC税制)」かもしれません。財務担当者が経営陣がならぶ役員会で「イギリス投資はクリーンである」と証明するための、3つの防御ラインをご説明します。
実体基準・管理支配基準のクリア
日本の合算課税CFC税制には、現地で以下の基準を満たすような正当な事業を行っていれば合算が免除される適用除外要件があります。
- 支配管理:イギリス現地で事業の管理・支配・運営が行われている
- 実態基準:イギリス国内に管理事務所など施設がある
- 現地プロパティマネジメント会社(PM)との契約・RICSによる評価付け・取締役会の開催記録がある
実務としては「いつ、誰が、どの物件の修繕や賃料改定について意思決定したか」を議事録として残し、現地秘書役(Company Secretary)や管理会社と連携して保管するのが支配管理のエビデンスとなるだけです。
取締役会については実際に経営陣みんながイギリスに行って開催する必要はありません。定款や現地の会社法に基づき、Zoom等での開催は認められていますので心配する必要はありません。財務担当者の感覚としては月次の取締役会で「海外不動産事業の報告と承認」を1項目追加する程度のことです。
事業基準
不動産賃貸業は、合算課税CFC税制において主たる事業として認められる業種です。イギリスの法体系がベースとなっている「不動産運用事業」であることの正当性は当然ながら認められます。イギリスの世界一透明性高い不動産法に則った運用が税務上の事業性の裏付けになると言う意味です。
実効税率のモニタリング
ペーパーカンパニー特定の判定などの見地から日本国内において合算課税CFC税制の見直しが議論のテーブルに上がっています。RICS鑑定による減価償却で利益を適正に圧縮しつつ、イギリス現地で19%-25%の税を納めるという納税実績があれば、租税回避を目的としたペーパーカンパニーとは明確に区別されますのでこの点も心配は不要です。
RICS鑑定による強力な不動産評価と監査対応
イギリスの不動産鑑定士RICSは王室の認定を受けている「世界中の不動産団体の最高峰の権威性」を備えています。
日本の税務実務において、RICSは「国税庁が認めざるを得ない権威性」により以下3つの役割を担います。
- 英国王室から認められた機関として、再調達原価法などの客観的根拠に基づいて鑑定を行う
- 鑑定レポートには、建物の設備・内外装の状態に至るまで詳細に説明されており、日本の耐用年数に当てはめた際の残存耐用年数を論理的証拠として提供。
- 大手企業の監査法人は評価の妥当性を要求する時、RICSの「Red Book」があれば国際評価基準IVSを否定できません。つまりREDBOOKがあれば財務担当は説明責任(アカウンタビリティ)」完結します
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