「イギリス不動産は節税にいい」は本当?衰退国なのに富裕層の間でロンドンが浮上する理由

なぜ今世界中の機関投資家や「本当の富裕層」は、居住地をドバイへ移してまでもロンドンの不動産だけは手放さないのでしょうか?その答えがイギリス不動産が世界中の富裕層にした支えされている理由です。

表面的な利回りや節税目的を超えた、冷徹なまでに計算された「資産防衛(キャピタル・プロテクション)」の生存戦略があります。ここではイギリス不動産の節税面だけでなく資産防衛について網羅できるはずです。

【著者情報:LCFPO】イギリス留学・公認会計士事務所での決算業務実務経験を経て、FPとして受けた相談件数は18000名以上。契約の継続率・販売力・商品の品質に関するインターナショナルクオリティアワードを受賞。ほか受賞歴や業界内の取材受注多。現職は資産形成・海外不動産投資案件のご相談を承るオフィスの代表FP、事業家。くわしくは「about」よりどうぞ。

イギリス不動産・節税メリットの本当と嘘と盛り

「法人の節税にイギリス不動産がかなりいいらしい」という話には「盛られている点・本当」といったようにレイヤーとなってトピックが玉石混交になっているというのが事実です。

イギリス不動産を節税目的で検討を始めた方の足元を固め、同時にそれ以上の価値が実感できるように事実をお伝えします。

日本の税制改正で消えた「築古木造スキーム」の幻想

かつて高年収者の間で「海外不動産投資=究極の節税」ともてはやされた時期がありました。しかし2020年(令和2年)税制が改正され、 現在個人所得圧縮で節税を目的にした海外の築古物件を買うメリットは、税務上ほぼなくなっています。

高年収者の間で価格が下がりずらく短期で減価償却できるイギリスやアメリカの不動産は大人気でした。

個人への節税ルールが厳格化された中で、法人の場合はまだまだ節税スキームは有効で、法人の利益を海外不動産の減価償却で相殺することはかなり行われています。法人が海外不動産を所有する場合、まだまだ損益通算は有効活用できるのです。

※ただし、物件選びを誤れば、節税額以上の含み損を抱えるリスクがある

ただし減価償却をしきって簿価が下がったタイミングに売却すれば、売却益(譲渡益)に対して法人税は大きくなります。こうした場合節税というよりも実質は税の先送り効果しか期待できず、節税目的だけで手を出すのは安易と言わざるを得ません。

しかしながら法人も節税でイギリス不動産を活用すべきではない、というわけではありません。

「節税」ではなく「資産防衛(キャピタル・プロテクション)」へのシフト

イギリス不動産は節税対策もさることながら、円安やインフレから資産を守る資産防衛として活用するのが最も有効です。

現在日本が直面して入りインフレの猛進は、コストプッシュ型インフレです。本質的に言えば「日本円が対外的に最弱の通貨になり下がった(円安)ことによるコストをインフレで払わされている」といったことになります。

最弱の通貨で法人の帳簿を守り切ろうとしても、日本経済とともに沈没するようなものです。つまり日本国内だけで資産を完結させることは、日本という沈没船と心中するのと同じ意味に過ぎなくなっています。

イギリス経済も衰退してはいますが、だからといってイギリスポンドが弱いかといえばまた別の話。ポンドは依然として世界第4位の決済通貨であり、資産の一部をポンド建ての不動産(現物資産)に変えておくことは、円の暴落に対する最強のプロテクションとなります。

※以下でお伝えしています通り、資産防衛においてただの『ポンド預金』では不十分です。通貨そのものの減価を不動産価格の上昇が飲み込んできた歴史があるからです

イギリスでは景観保護や開発が厳格に保護されており、日本のように新しい建物が無造作に立つことはないといった法的背景もあり、築古の建物が当たり前。つまり新しい建物が建つことがないために、古い建物の市場価値が極端に下がることがないのです。

130年の歴史の中でポンドの通貨価値が下がるごと、相対的に土地と賃料の価値が上がってきました。このシンプルなインフレ連動性が、長期的に「次の買い手がいなくなることはない」という状態を形成しています。

この通りですので、イギリスでは不動産神話が強力。20代前半の若者の多くが無理をしてでも早めに不動産を所有しようとします。

そして資産防衛において最も恐ろしいのは「法改正による財産権の侵害」です。イギリスの法体系は世界中のビジネス契約の雛形などと言われるほどで、所有者の権利がこれほどまでに強固に守られ予測可能性が高い市場は、世界中を探しても他に類を見ません。

つまりこれまで多くの富裕層が外国人が安心して巨額の資金を投じられるのは、そこに「ルールが変わらない」という絶対なる信頼があるからです。

法改正で多額のコストが流出するようでは計画が断たれますが、予測不可能にキャッシュが減らないという点で見ても他の国に類を見ない安定性です。イギリス不動産は海外不動産で節税を卒業した投資家が、100年単位で資産を保全するための「シェルター」なのです。

なぜ「富裕層の大量流出」が起きても不動産価格は下がらないのか?

「ノン・ドム」廃止と、ドバイ・シンガポールへ向かう富裕層の正体

イギリスから数千人規模で富裕層が流出している最大の引き金はノン・ドム(Non-Dom)制度の廃止でした。

Non-Domとは?

本拠地が海外にあるとみなされる個人に対し、「イギリス国内に持ち込まない限り、海外で得た所得や資産には課税しない」という驚異的な税制優遇措置。イギリス以外の国の富裕層が税金の安さを理由に本国に資産を残したままロンドンに居住するケース。

【本当】

重要なのは逃げ出しているが「イギリス人」ではなく、「イギリスをタックスヘイブンとして利用していた外国人富裕層」だという点です。

世界中の富裕層がこの利便性を活用していたものの、2025年4月からノンドム廃止によりイギリスに住み続ける経済的な合理性がなくなったというわけです。

彼らは以下のような条件から法人税や所得税がゼロ、あるいは極めて低いドバイ(UAE)やシンガポール、スイスに移り住むことが多かくなりました。

  • ドバイ: 積極的なゴールデンビザの発行とゼロ税制
  • シンガポール: アジア圏の富裕層が本国に近い拠点として利用

海外から移り住んだ富裕層はイギリスは一時生活の拠点とはなったかもしれませんが、「唯一のアイデンティティ」ではなく、条件が悪くなれば後腐れなく移動する経済的遊牧民に過ぎないだけ。

【本当】

人がいなくなるなら不動産暴落ではないか?という疑問も浮上するかもしれませんが事実は逆です。富裕層がドバイやシンガポールにへ移っても、ロンドンの不動産が売られない、あるいは買い手が見つかる、暴落するはずもないのは明確な構造的理由があります。

ロンドンの不動産は、家の機能のみならずポンド建ての「ゴールド(金)」に近い扱いをされています。所有者がどこに住んでいようと、その資産が「ロンドンにある」こと自体に価値がある。

ドバイに移住した富裕層の多くはなんと「ロンドンの自宅を売却せず、賃貸に出したりセカンドハウスとして維持」しています。なぜなら世界経済の「重要なインフラ」が依然としてロンドンにあることを彼らが一番よく知っているからです。

人は逃げても「マネー」はロンドンから離れられない理由

イギリスから住民票を抜く海外富裕層は増えても、彼らがロンドンに置いた資本まで引き揚げているわけではありません。むしろ個人が去った後の空白を埋めるように、世界中の巨大資本がロンドンの不動産を飲み込み続けているという現象が起こっています。

ロンドンの不動産を買い支えているのは個人ではありません。中東の政府系ファンドや、北米・欧州の巨大な年金基金といったいわゆる「マーケットのクジラ」たちです。彼らのような人がなぜロンドンの不動産を購入するのか?

彼らにとって重要なのは今年の節税ではなく、50年・100年先も確実に「インフレを上回る収益」を生み出し続ける場所。世界で最も透明性が高く、取引高が多いロンドンは、巨額の資金を投じても「いつでも出口(売却)がある」という、世界屈指の流動性を誇ります。

富裕層がドバイへ移住しても、ロンドンという街の機能が衰退することはありません。

City of Londonはイギリスの首都ロンドンの中のさらに中心地の金融街。歴史的な景観を守るための厳しい建築規制により、新しい「土」は二度と生まれません。ここは世界中から高年収のプロフェッショナルが流入し続けています。人が入れ替わっても、限られた「一等地の椅子」を奪い合う構造は変わらないのです。

皮肉なことにイギリス経済の停滞による「ポンド安」は、ドルや円、ユーロを持つグローバル投資家にとっては、ロンドンの不動産を「バーゲンセール」で手に入れる絶好のチャンス。ポンド安のニュースが流れるたびに、割安感を嗅ぎ取った外貨マネーがロンドンの中心部に流れ込み、結果としてロンドン不動産を下支えする。これがロンドン不動産の「不死鳥」たる所以です。

投資において最も危険なのは、「富裕層が逃げ出しているから都市そのものの価値が下がる」という単純な実需の論理で世界市場を見ることです。ロンドンの不動産は、もはや「住居」というカテゴリーを超え、世界経済というシステムを維持するための「担保資産」として機能しています。

居住者は減っても、世界中の機関投資家や政府系ファンドがロンドンの「土」を買い続ける需給バランス。これはイギリスロンドンにしかできない離れ業です。

【盛りなし】数十年「空室なし」の実績が証明する圧倒的な流動性

投資家にとって「空室」は最大の敵であり、資産価値を下落させます。しかし、ロンドンの中心部において数十年一度も空室がないといった状況は日常であり、決して盛っている話ではありません。

海外からやってきた富裕層がイギリスから逃げ出していると言われる中で、これほどまでに強烈な賃貸需要が維持されているのか。ロンドン不動産の本質は、キャピタルゲイン(値上がり益)以上に、強固で盤石なインカムゲイン(賃料収入)にあります。

ロンドンは、金融、IT、医療、そして教育の世界的な集積地。

City of Londonは、世界の為替取引の40%を支える金融のプロフェッショナルたちが集結しており、彼らの年収は数千万円単位、一等地の高い家賃を支払う高い支払い能力があります。

またオックスフォードやインペリアル・カレッジなど、世界最高峰の大学がひしめき合う世界の教育都市があります。世界中の富裕層が、子弟をロンドンに送り込み、親が「安全で質の高い住まい」を惜しみなく確保するのが日常です。この教育需要が不況下でも崩れない最強の下支えです。

そしてイギリス、特にロンドンの住宅事情は、日本とは真逆の「超・供給不足」。歴史的な街並みを守るための「グリーンベルト」や景観規制により、新しい住宅を建てるには極めて高いハードルがあります。

「新築」が尊ばれる日本とは真逆で、イギリスでは「100年前のレンガ造り」がステータス。供給が増えない一方で、世界中から人が集まり続けるため、常に「椅子取りゲーム」の状態が続いています。

投資における「出口戦略」とは、買い手がいるかどうかだけではありません。「次の借り手が即座に見つかるか」も極めて重要です。ロンドンの一等地では、前の入籍者が退去する前に次の契約が決まるのが日常。この「ゼロ秒空室」の状態が、投資家のキャッシュフローを鉄壁なものにします。

さらにはコモン・ローに基づいた標準化された賃貸借契約により、外国人のオーナーであっても、管理会社を通じてシステマチックに運営が可能です。

数十年空室なしというオーナーはざらにいます。彼らは単なる運がよかった人ではありません。それは世界で最も代替不可能な場所に資本を置いた結果の必然です。

多くの投資家が「利回り」という数字に目を奪われる中、真のプロは「流動性(いかに確実に現金化・収益化できるか)」を最優先します。ロンドン不動産はその流動性が世界一であることを歴史が証明しています。

驚異の為替40%支配:イギリスが握る世界経済の喉元

「イギリス不動産は節税にいい」という言葉の裏にある、最も深淵な真実をお話しします。

多くの人がロンドンの物件を「住むための家」と考えている間に、世界の真の富裕層や機関投資家は、「世界最強の金融プラットフォーム」の一等席として扱っています。もはやロンドン不動産は「住居」ではなく「金融プラットフォーム」です。

コモン・ロー(慣習法)が担保する、世界最強の「所有権」

イギリス不動産を単なる「建物」として見てはいけません。

City of London(金融街)は世界の為替取引の約40%が集中する地球上で最も巨大な「決済の場」です。

ロンドンには「LME(ロンドン金属取引所)」や「ロイズ(保険市場)」など、あらゆる資産の「価格決定権」を握る機関が集まっています。不動産価格もまたこれらの金融インフラが生み出す膨大な手数料収入によって支えられています。世界のマネーが動くたびにロンドンに落ちる「チャリン」という手数料が、最終的にロンドンの土の価値へと還元される構造です。

この圧倒的な取引ボリュームが周辺の不動産を単なる居住施設から世界経済のインフラへと昇華させており、機関投資家にとってロンドン不動産は「不動産」という枠を超え「インフレ連動債」に近い感覚で組み込まれているのです。

イギリスは金融や製薬といった産業以外にこれといった産業はありません。だから衰退の一途をたどるだろうという推測はこの国の本当の稼ぎ方を知らない人の言葉です。

イギリスは自分たちで物を作ることをやめ、世界中の商取引が行われる際の「ルール(契約)」と「決済(為替取引)」の元締めになりました。世界中のドルもユーロも円も、その4割がロンドンのシステムを経由して交換されます。このインフラがロンドンにある限り、その中心地にある不動産の価値がゼロになることは物理的にあり得ません。

仮にイギリス経済への懸念でポンドが安くなったとしても、それは世界中の投資家にとって「ロンドンという世界一のプラットフォームのバーゲンセール」を意味し、即座に外貨マネーがイギリス不動産を買い上げにやってきます。

投資家が買うべきは、成長する「国」ではなく、衰退してもなお世界が依存せざるを得ないインフラです。ロンドン不動産を所有することは、世界の為替取引の40%を支えるシステムの「一部」を所有することと同義。為替手数料という名の『ロンドン税』を世界中から徴収し続けるシステムに相乗りするのです。

これがイギリス自体に興味がなくても「ロンドン不動産」だけは別格だと断言する世界の富裕層が多いのはこうした理由にございます。

投資すべきは「国」ではなく「イギリスのインフラ」である

「イギリス不動産は節税にいい」という言葉を入り口に、ここまで読み進めてくださったあなたなら、もうお分かりのはずです。

私たちが投資すべきは、成長が止まったイギリスという国(株や産業)ではありません。たとえ国が衰退し、富裕層が居住地を変えたとしても世界経済が動く限り手数料が落ち続ける「システムの喉元(ロンドン)」に資本を置くことです。

もし100年単位で家族の資産を守り抜く「キャピタル・プロテクション(資産防衛)」の領域に踏み出したいと考えるなら、以下より個別相談をお受けください。

現在の法人としてのポートフォリオに対し、「世界の喉元」をどう組み込むべきか。10年先、20年先を見据えた具体的な資産配置を共に設計します。

【当方は、相互の信頼関係を構築できる方を最優先しております。専門家の知見に対する軽視、あるいは一方的な搾取が確認された場合は、一切の通告なく接続を遮断いたします。】

 

  • この記事を書いた人

LCFPO

公認会計士事務所での決算業務実務経験を経て、FPとして受けた相談件数は18000名以上。契約の継続率・販売力・商品の品質に関するインターナショナルクオリティアワードを受賞。ほか受賞歴や業界内の取材受注多。現職は資産形成・海外不動産投資案件のご相談を承るオフィスの代表FP、事業家。くわしくは「about」よりどうぞ。