
アメリカ不動産売却時に「アメリカ側の売却税15%・FIRPTA」や「日本側の譲渡所得税」が襲い掛かりトラブルになる投資家が多発しているようです。
1031エクスチェンジと言うアメリカの不動産投資税制優遇制度を個人名義で活用すれば、日本側での課税を免れることはできません。ここでは初期段階から負けを回避する手法を解説します
アメリカ不動産を売却する際に立ちはだかる「日米両国での税金」
米国側で強制徴収されるFIRPTA(ファプタ)
アメリカ本土・ハワイ州の不動産を売却が成立していよいよ売却金額の着金の段階で、日本人オーナーの多くは冷や汗をかきます。
多くの日本人アメリカ不動産投資家が勘違いしているのが「売却益に税金が課される」といった点です。売却益に対する税金ではありませんし、赤字だったから税金がないということでもありません。
アメリカ不動産の売却では売買価格に一律15%が強制徴収(FIRPTA)されアメリカ国税庁へ送金されます。アメリカは資本主義の塊のような国です。アメリカ政府は、米国不動産が売却される際に米国非居住者から税金の取りっぱぐれを回避するために設けた強制的な源泉徴収税なのですから。
ハワイの高級コンドミニアムを3億円(約195万ドル相当)で売却したとして、手元にやってくるはずだった売却代金からまずは4,500万円が強制徴収されてアメリカ政府のものとなります。
さらに愕然とするのが米国不動産エージェントに支払う仲介手数料5⁻6%・登記などの諸費用もあり決済後の口座残高を見て思わず愕然としてしまうかもしれません。この時点で手元のキャッシュは約2億3,700万円まで目減りします。
慰めのようになってしまうかもしれませんがこのFIRPTAは仮の税金であり、過払いの差額分は還付されます。問題は還付されるまでが長いという点です。
日本の役所が優秀と言うべきかアメリカの国税庁が遅いと言うべきか、源泉徴収された金額が還付されるには1年の歳月を要します。
当然この小さくない金額が長期間アメリカに塩漬けされるわけですから、日本人投資家のキャッシュフローを悪化させることも少なくありません。
日本側での譲渡所得税との二重課税
上述FIRPTAによってアメリカ政府に数千万円が塩漬けされたことが分かった後、さらに追い打ちをかけるように「日本国内での確定申告と譲渡所得税」が待ち受けています。
アメリカ不動産であったとしてもその売却においては日本居住者である限り日本国内で確定申告の義務があります。このときの税金の取り扱いは以下の通りです。
譲渡所得にまつわる税金
譲渡所得(利益)=売却金額 - (取得費+譲渡費用)
- 5年以下の所有・短期譲渡所得: 約39%
- 5年超の所有・長期譲渡所得: 約20%
利益に対する課税だから大したことはないだろうと思われるかもしれません。しかも取得費や譲渡費用まで差し引くわけだからかなり課税対象額は圧縮されるはず、という思惑が働きそうではあるのですが、注意が必要です。
利益を圧縮して節税できたとしても、決してそこだけにとどまらない背筋が凍るような納税の繰り延べ劇にすぎなかったとわかる瞬間があります。どういった実態なのかよくあるパターンをご紹介します。
上述3億円で購入・売却したのハワイ物件の場合
購入後に日本で毎年節税効果があった
購入後建物の経年劣化を減価償却という形で毎年3,000万円ずつ5年間で合計15,000万円を帳簿上の経費として確定申告で申告。その分の税金が浮く。
日本国税庁の見解
帳簿上物件の価値は「3億円 - 1億5千万円 =1億5千万円」に値下がりしたと処理される。
税務署の見解:「帳簿上の価値は1億5,000万円まで下がった。それを3億円で売却したのだから1億5,000万円の『利益』が出たことになる。
譲渡所得税の試算
- 5年以下の所有・短期譲渡所得: 約5,850万円
- 5年超の所有・長期譲渡所得: 約3,000万円
納税は大した金額にならないだろうと思っていたら青ざめる瞬間、上の通りです。
日本国内ならまだしも、アメリカの不動産に関して「どの場所の物件をいくらで購入していくらで売却したのかわかるはずがない」と思われるかもしれませんが、国税庁はそんな間抜けなはずがありません。
100万円超の「国外送金等調書」による自動通知
アメリカ不動産が売却され数億円分のアメリカドルが日本の銀行口座に着金されたとき、そして購入時に日本からアメリカへ送金されたとき、日本の銀行からは国税庁に「100万円を超える海外送金」として情報が税務署へ通知されます。
日米租税条約に基づく情報提供要求
日本の国税庁が「アメリカ不動産を持っているはずなのに売却の申告がない」と不審に思ったとき、彼らはアメリカ国税庁に直接情報開示請求ができます。
国外財産調書未提出
わかるはずがないと高をくくって海外資産の確定申告を怠ると、遡って重加算税が課されます。それが意図的だと判断されたら更なる5%の加算税が課されます。
遠く離れたアメリカでいくらで不動産を購入しいくらで売却されたのかと言う事実は、国内での確定申告や巨額のアメリカドルの移動履歴という2点から国税庁のシステム上で完璧に管理されています。まさかではありません。
アメリカで納税した額は、『外国税額控除』があるからいずれは戻ってくるだろうと思われるかもしれません。
「外国税額控除」は万能ではない
外国税額控除は控除できる上限が設定されています。いくらアメリカ側で多額の税金を支払ったとしても、「全額が日本の譲渡所得税から差し引いて相殺できるわけではない」という意味です。アメリカ側で納税した額が外国税控除限度額を超えてしまった場合は、日米両国に二重に支払った税金でしかありません。
結果として手元に残るはずだった現金が削り取られたという実感の人が多くいます。
なぜ日本の不動産仲介業がすすめる「1031エクスチェンジ」で失敗が起こるのか
国内のアメリカ不動産仲介業者が「日本居住者(個人)に1031エクスチェンジを使えばいい」とアドバイスされ、トラブルが多発しています。
1031を日本の個人が使えば、アメリカでは無税になったとしても「日本国内では売却した瞬間に課税」されます。
そもそもアメリカにおける不動産投資優遇税制度1031エクスチェンジとは
アメリカでは金融資産ユーザーへの税制優遇措置はありません。アメリカ政府にとって「お金を右から左に流すだけ」という認識だからです。しかし彼らが国策同然に珍重しているのが不動産投資における1031Exchange制度です。
アメリカ国内の土地・マンション・倉庫・戸建てなどあらゆる不動産に買い替えるならば、その売却益は頭金として次の不動産購入に充当するならば税金が免除される仕組みです。
以下でお伝えしています通り45日内に物件を決定し、180日以内に決済まで終了するという厳格なルールがありますが、資本主義の塊と言われるアメリカがここまで1031Exchangeで不動産投資家を優遇するのは「不動産を通して多くの経済が回るから」という理由があるからです。
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アメリカでは税の繰り延べができても「個人名義のままでは日本で普通に課税される」
米国国税庁の制度はあくまでアメリカ国内の税金に過ぎません。アメリカで税金が免除されるという制度が日本の国税庁に通用して日本国内でも無税になるわけではないのです。
アメリカ不動産を個人で購入しているならば譲渡課税として20%〜39%の税金が必須です。
数年前に個人名義でアメリカ不動産を購入した節税目的の人の今後
「売却益が出ているのに、納税で想像以上に苦戦を強いられる」という事態は、以下のような背景から発生します。
国内業者のポジショントーク
アメリカ不動産仲介業者は「アメリカ不動産は価値が低下しない」「家賃収入でローンが完済できる」「節税対策として適している」という話を展開します。
しかし物価の高騰で想像以上に管理費修繕費などが跳ね上がり、固定資産税などの税金が利益を削り取り、結果的に毎月の持ち出しが発生することになっていたパターンはありがちです。
建物の劣化を減価償却費というキャッシュアウトが発生しない経費で節税が実現できていたわけですが、上述の通り取得価額(帳簿価額)を引き下げる行為です。
購入した金額と同じ金額で売却できればプラスマイナスゼロと思いがちですが、税務上は帳簿上で物件価格が下げられて実際には儲かっていないのに、帳簿上で巨大な利益が発生することになり課税が待ち受けていることになります。
アメリカでは一定の条件がクリアされたら譲渡益税の軽減や、連邦税の免税もあるのですが、外国税額控除だけで控除しきれず納税額が課題になるケースもあります。
しかも円安が進行し為替リスクの追い打ちもあり、為替差益により税務上の利益が重なって税金が膨れ上がるというわけです。
安易なセールストークで出口売却時のリスクが描き切れていないと、彼らの詰めの甘さを結局ご自身が血を流して払わされる羽目になります。
本物が1031の効果を発揮するために活用できる正統ルート
本物の富裕層が1031エクスチェンジを合法的に機能させる裏ルート
アメリカ現地法人名義での売却が必須
かつて高年収のサラリーマンにアメリカ不動産による節税が大はやりしましたが、2022年の法改正により海外不動産による節税は不可能となりました。
その後アメリカ不動産を所有し続けるか売却してしまうかの選択に迫られた投資家は、うっかり「日本居住者のまま個人名義の所有者」として売却し罠に嵌った人が続出しました。
アメリカでは1031エクスチェンジと呼ばれる「不動産の買い替えにおける税制優遇制度」があり、これを利用して際限なく納税の繰り延べをしようと試みた投資家は、「アメリカで納税の繰り延べができたけれど、日本でしっかり譲渡所得税を課される」という恐怖を経験するのです。
結局アメリカ側で税の繰り延べができたと喜び頭金を充当して資産拡大が実現できると思った矢先「逆に資金が削り取られる」という冷や汗モノのトラブルが生じます。
考えてみればアメリカと日本で譲渡所得課税の制度がまるきり同じわけでもありません。上のようなトラブルを解消するための唯一の方法が現地法人として売却と再投資を淡々と行って1031エクスチェンジのメリットを享受していくというやり方です。
日本居住者一個人としてではなく、アメリカの税制上の法人格でアメリカ不動産を所有・売却すると、1031エクスチェンジの条件を外すこともなくかつ日本側で売却益に課税されることなくほかの不動産の頭金として充当できるようになります。
実質納税ゼロで再投資できるために、削り取られる費用を極限に抑えて資産規模の拡大が実感できるというわけです。
端的に海外不動産の売買に注力する仲介業者や、日本の税法しか把握していない仲介業者だと、想像もつかなかったような日米で異なる税制でトラブルに巻き込まれ痛い目にあります。
アメリカ法人という手のかかる枠組みを構築してまでメリットが得られる人は多くありません。とはいえ一度確立した枠組みというのは習慣になれば日常業務となり他社が参入できない大きな障壁です。つまり参入し甲斐のある領域とも言えます。
売却を前提とした仕組みつくり
海外不動産の多くの投資家は表面利回りや立地にはこだわりますが、出口を見ている人は多くありません。
アメリカ不動産で資産を増やしたり、その他多くの法人対策スキームとして活用するには仕組みつくりが大きなカギを握ります。
この仕組みつくりによって売却時のキャッシュが数千万円から億単位で違ってくるのです。
初めの設計がそもそも愚策であれば、いざ売却の段階で日米双方の税制の違いの板挟みにあって脂汗どころではなくなります。
上述しましたように個人所有にしてしまえば日本側で譲渡所得税から逃れることはできません。個人から法人に名義変更すればいいかと高をくくっていると譲渡やみなし課税が発生しそこでも本来要らなかったはずの手数料や税金を課されます。
ストレートに行ってしまえば初めの段階で失敗が確定していることに気づいていないだけです。
初期からアメリカ現地法人での所有としておきくとで、1031エクスチェンジによる税制優遇効果が発揮されやすく、日本での課税が起こらなくなります。資産を置く箱をどこにするかで見える世界がまるで違ってくるのがアメリカ不動産投資。
円安も進んでアメリカ不動産投資は今後また違った世界が展開されるのではないでしょうか。
お問合せは

アメリカ不動産の立地や利回りなど表層の問題にすぎません。初期の設計が誤っていれば負けが確定するのも同然、その瞬間に数千万円から億単位の資産が消えることになります。
もし少しでも現状の所有名義やスキームに違和感をお持ちであれば、手遅れになる前にご相談ください。
当オフィスは端的な海外不動産仲介ではありません。公認会計士事務所での実務経験と、18,000名以上の資産相談に応えてきた FPとしての知見に基づき、日米の税制の違いから起こるトラブルを未然に防ぎ、法人の資産形成に貢献します。
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