アメリカ国債のデフォルトがありえない理由・世界最高峰の資産はやはり最強だった

ここではアメリカ国債がデフォルトになるなどありえない理由をお伝えしてます。

世界最強の国であり影響力が強いため、デフォルト危機になると注目されますが、アメリカには国債発行額に上限があり「「お金がなくてない袖は振れない」というわけではありません。

第二次トランプ政権スタートのタイミングで国債投資のチャンスが到来する点についてもお伝えしていますので最後までご覧になってみてください。

アメリカ国債がデフォルトになるのはありえない

アメリカ国債のデフォルトとは

米国債は「この日まで返すと決めて発行される借用書」で、アメリカ政府の資金不足を補う目的で発行されます。

アメリカはこれまで一度たりともデフォルトになった歴史がありません。満期までアメリカ国債を持っていれば、アメリカが破綻しない限り「利息がついて額面が満期償還」され、しかも米ドルが下のコンテンツにあるような性質からノーリスクで世界最高峰の安全資産と言われてもいます。

アメリカ国債がデフォルトに陥るとは、利払いや元本の返済が遅れることを意味し、アメリカという国そのものの信用が地に落ちることを意味します。

約束通り利払いが行わなければあらたに資金調達したくても「利払いしない嘘つき」と見なされさらに困窮に陥るでしょう。

するとアメリカはさらに高い金利を設定しなければならなくなり、資金難の中でさらに高い利払いを行わなければついに破綻に至ることになります。

しかしアメリカの場合、お金が本当になくて無い袖は振れないとか、人気がなくて買い手がいないから発行できない、というわけではないのです。

アメリカ国債は発行額に上限があるってどういうこと?

アメリカは国債発行額に上限を設定しており、これを増額する場合は法改正かあるいは立法し、これに対し議会の同意を要します。

アメリカ議会が大統領に対して政策を呑んでもらうための切り札カードとして使われて国債発行額の上限設定が慣例化しているのです。

アメリカ議会が要求している政策を「大統領が約束しない限り債務上限に同意しない」と言えば上限引き上げの法案は通すことができません。

この大統領とアメリカ議会の関係性、政治的な慣例を前提にすれば、アメリカ国債がデフォルトに陥る可能性はゼロに等しいと言えるでしょう。

「アメリカ議会が通したい政策」というものがあったとして、大統領がもし長いこと一歩も譲らずに同意しなければ国家破綻は目前。

この国家破綻はやろうと思えば避けられるわけですが、端的に切り札として使われているだけなので、そもそも大統領もアメリカ議会も意地の張り合いで国ごと沈没しようとするわけがないのです

2023年6月のデフォルト危機

東洋経済

必要に迫られ上限が引き上げられなかったことはこれまでのアメリカの歴史の中で一度もありませんでした。

アメリカのデフォルトが世界中の注目の的となってしまった2023年6月についても、基本的には大統領とアメリカ議会が合意に至らなかったためです。端的に両者の妥協が難航したために、アメリカ国債の人気や信用が低下しているわけではありません。

アメリカ議会側はEV車支援策・気候変動にまつわる対策をなくす・自社株の買戻しに対する課税などの政策を織り込んだ財政赤字の縮小策を押し通し、かたやこれに同意すればバイデン大統領は次期大統領選に影響が及ぶことを恐れ、両者の歩み寄りが難航していました。

これらはアメリカ議会のねじれ問題と言われ、バイデン氏に限らず2011年・2013年・2015年としょっちゅう慣例的に起こっています。第一次トランプ政権では、不法移民の侵入を阻止するための壁(メキシコ)の建設費について合意が難航しています。

バイデン元大統領は加齢や健康上の理由で大統領選を降りることになり、後から考えれば両者のゴタゴタに付き合わされて時間と労力を消耗させられたといっても同然。

このアメリカ議会と大統領の政治的な抗争は、チキンレースのような、茶番のような、お祭り騒ぎ的なパフォーマンでしかないのです。

結果的に2025年1月を期限に債務上限の適用を休止する法案が通り、アメリカはデフォルトには至っていません。

アメリカがデフォルトは事実上あり得ない

アメリカ政府は自国通貨建ての米国債を発行、そしてFRBは中央銀行の立場で無限にアメリカドルを発行する機能を持っています。

両者は厳密にいえば異なる独立機関ですが、FRBが国債を買い入れすれば事実上の借金は消えますので、アメリカ政府がデフォルトに陥ることはありえません。

アメリカの場合は特に法案として可決されないからデフォルト危機が浮上するだけで、上述のとおり本質的に利払いできないとか買い手がつかないといった背景で起こるわけでもない。

法案を可決してくれないならこのまま崖から飛び降りてやる」などと大統領が言って見せたとしても、本気で崖を飛び降りる気など全くないのです。アメリカのデフォルト危機が浮上したら、またオオカミ少年が登場したのかくらいに見ておけばいいでしょう。

日本こそ国債残高が対GDP比250%の伝説を作っています。各国の経済アナリストに「日本の国債残高は異常」と言わせ、それでも破綻しないレジェンダリーな国として知られているのです。

しかしながら日本もアメリカ同様、日本政府が国債を発行、日本政府の子会社である日本銀行が国債を買い入れできるため、デフォルトに陥ることは事実上ありません。対GDP比250%の国債残高であろうとハイパーインフレにも国家破綻にもなっていません。

アメリカの上の上を行く”伝説のつわもの”はいる

世界中に債権者がいるアメリカ国債ゆえ、デフォルトの危機では多くの注目が集まります。しかしながらデフォルトはめずらしくもありません。

ロシアはソ連崩壊後の1992年から6年間にわたりルーブルの大暴落が起こり、さらに通貨単位の切り下げが行われた4年後の1998年にデフォルトに至っています。

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アルゼンチンは独裁制のつけが回って9回のデフォルトを経験、「先進国から発展途上国に落ちた唯一の国」というニックネームがつけられ、IMFからの資金援助を受ける常連となってしまいました。アルゼンチンもこの意味でレジェンドとして見られるようになりました。

ギリシャは新政権がスタートする2009年、隠れ赤字が発覚したことを発端にギリシャ国債が暴落しています。

ギリシャの場合は自国通貨ではなくユーロという共通通貨を使っているため、「共通通貨建て国債によって財政が圧迫」されていたのです。

自国通貨建て国債を発行でき、自国通貨を発行できる国は、ギリシャのようなデフォルトは事実上起こりません。アメリカや日本の財政破綻は事実上ないと言って良いのです。

アメリカ国債が「万一デフォルト」したらどうなる?

上述のとおり、「債務残高の上限引き上げとアメリカ議会の政策は交換条」になるのが慣例となっているため、両者の歩み寄りが難航するとデフォルト危機が浮上するだけです。

万一、アメリカがデフォルトになれば国が機能しません。軍事大国であるアメリカで働くアメリカ軍への給料支払いができなくなれば有事出動はできなくなるでしょう。有事を放り投げ、大統領と議会がお互い意固地のまま一歩も譲らないなどあり得るでしょうか。

ホワイトハウスの経済諮問委員会であるCEAは、万一デフォルトが起こってどうしようもなくなれば800万人の失業者が出ると試算しています。

アメリカの国の機能が停止すれば、以下のような流れで経済的な影響が起こるでしょう。

アメリカが万一デフォルトした場合

  1. 国内外問わず米国債の大量売りが始まる
  2. 国債価格の暴落・利回りの高騰
  3. 米国債の信用と格付けの低下
  4. 米国債の売りが加速
  5. 国債・米ドル・アメリカ株のトリプル安

日本への影響も止まりません。

  1. ドル安の影響で円高
  2. 日本の輸出産業の破壊的ダメージ
  3. 米国債が利払いされず元本も戻ってこない

アメリカが国家破綻すると他国への影響は計り知れません。繰り返しになりますが大統領と議会の合意が至らないというだけの話で、誰一人として本気でアメリカを国家破綻させようとは思っていないのです。

バイデン元大統領のように何としてでも再選を狙いたくて一歩も引きたくないという目的があれば、アメリカ議会の政策と交換条件を呑まずに意固地になるというだけの話です。

格下げが起きたとしても不動のアメリカ国債人気

「アメリカがデフォルトに陥って米国債の大量売りが始まれば、利回りが高騰する」と上述していますが、これは飽くまで仕組み上のシミュレーションに過ぎません。

事実2011年にアメリカ国債の格付けが落ちたあとに金利が低下、国債の大量買いが起こるという現象が起こっています。

これはアメリカ国債の本質がよく浸透している証拠です。アメリカ国債が何たるかがよく認知されており、格付け会社によって格付けが落とされたとしても、ただちに「だったらほかの代替資産を探す」というところにはつながらないというわけです。

つまり米国債の格下げが米国債の人気低下につながるわけでもありませんし、ただちにアメリカ経済の景気後退を表すわけでもありません。

利息もついて満期まで必ず償還してくれるアメリカ国債を保有するほうがいいと多くの国で認識されているため、世界の金融システムのベースを担っているとも言えるでしょう。

アメリカ国債の保有第2位である中国は、確かにアメリカドル離れが進んでいます。トランプ政権では対中の関税で60%を課すなど経済制裁同然の政策が推し進められる予定ですので、米中の対立は今後もヒートアップしそうです。

デフォルト危機で米国債が格下げになり売られているというよりは、どちらかと言えば政策やほかの見通しで売り買いされていると言って構いません。

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第二次トランプ政権スタート以降、国債投資のチャンスが到来する

2025年1月からスタートする第二次トランプ政権では、イーロンマスク氏の政府効率化省が注目されています。

「省」と付いていますが、平たく言えばアメリカ政府のコンサルタントで、世界最高峰の敏腕経営者としての能力が発揮されたならば名前のとおり財政赤字が圧縮できるのではないかと期待されているようです。

第二次トランプ政権は内需を育て減税を行う政策を重視、かつ対中関税強化を60%などが言及されており、2024年末で「トランプ政権の歓迎」を織り込んだ株価上昇が起こりました。

減税と関税強化の場合はインフレ率が上昇する政策ですので、これを抑制するために金利は上昇するものと考えられます。つまり、2025年トランプ政権スタートのタイミングは国債投資のチャンスでもあるわけです。

2025年にはFRBによって利下げが4回ほど行われるだろうと見込まれていましたが、これは確実ではありません。減税と関税強化が行われてインフレ率が上昇すれば金利の引き下げは見送られるでしょうし、年に1度も利下げを行わない可能性もあります。

トランプ大統領は円高ドル安を望んでいるため、円高に傾くことは大いにありえます。するとアメリカ国債が割安に感じられるようになるでしょう。アメリカの政策金利が4-5%程度残りつつ円高に傾くことが考えられ、アメリカ国債投資のチャンスと言えばチャンスでもあるのです。

以下で世界最高峰の資産アメリカ国債を、斬新かつ手堅く運用する方法をお伝えしています。よかったら登録してみてくださいね。

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LCFPO

公認会計士事務所での決算業務実務経験を経て、FPとして受けた相談件数は18000名以上。契約の継続率・販売力・商品の品質に関するインターナショナルクオリティアワードを受賞。ほか受賞歴や業界内の取材受注多。現職は資産形成・不動産投資案件やインフラ契約のご相談を承るオフィスの代表FP、事業家。くわしくは「about」よりどうぞ。