法人の利益が出過ぎた場合の節税対策・その9割はほぼ資産の蒸発にすぎない

法人の利益が出過ぎたときの節税対策として、その9割近くは資産の蒸発に近いものです。

ここでは資産計上・賞与給与・法人保険・経費などの具体例を交えながら、一般的な節税手法が不満足を招く結果となりかねない理由などを挙げています。

その中で法人の貸借対照表を堅牢にする方法として海外不動産についても解説しています。

【著者情報:LCFPO】イギリス留学・公認会計士事務所での決算業務実務経験を経たことから主に法人の節税となる金融商品販売を行い契約の継続率・販売力・商品の品質に関するインターナショナルクオリティアワードを受賞。FPとして受けた相談件数は18000名以上、ほか受賞歴や業界内の取材受注多。現職は資産形成・海外不動産投資案件のご相談を承るオフィスの代表FP、事業家。くわしくは「about」よりどうぞ。

利益が出過ぎた法人が知るべき本当の節税方法

利益が出過ぎた法人が陥りやすいのは、税金を減らすことに注力しすぎてただただ資金を減らしてしまっている本末転倒なパターンです。

「税金を払うより経費で消えたほうがよほどいい」と割り切れるならば問題ありません。しかし「経費としての概念が薄く、かつ帳簿上の資産性」まで見通せている人は驚くほど少ないのです。

利益が出過ぎた法人がまず明確にしておきたいことは以下の3点です。節税対策に完全はありませんのでいずれか妥協できない方法を明確にして避けておくべきでしょう

【願望通りの節税は存在しない】

  1. 少額資産:高性能PCなどの購入で経費を計上したものの帳簿上の資産性がないことを割り切れる
  2. 共済や保険:利益が出過ぎたときのスケールに合わない制限ありの共済や保険で妥協する
  3. 給与賞与:個人の所得に移転した上で個人での課税を受け入れる
  4. 経費:税金を払うよりは経費で消えたほうがいいと割り切れる

上の1~4について資産性・節税の質・出口で行う税務・インフレ耐性を一覧にしてみると以下の通りです。

資産性 節税の質 出口の税務 インフレ耐性
①少額資産 資産性ゼロ 端的な経費計上 端的な消費 弱い
①不動産 国内:ボラティリティ有
海外:場所による
分離課税20% 海外は場所により防衛〜上昇 海外の場合は大いに有
②共済・保険 10~15年超で微増 税の繰り延べ 雑収入計上で法人税を計上 契約期間が長期ゆえ耐性が弱い
③給与・賞与 50%以下 資産の移転 所得税社保三重苦 個人は運用次第
④経費 ゼロ:消費 キャッシュの流出 端的な消費 弱い

それでは①~④の利益が出過ぎた場合の節税対策を詳しく見ていきます。

①利益が出過ぎた場合に資産で節税

利益が出過ぎた法人が陥りやすい節税方法として、モノとして残るかもしれないけれど「法人の貸借対照表が堅牢になるわけでもない節税」を実践しているケースは少なくありません。その代表例が少額資産です。

①‐1 少額資産・動産投資

少額資産を節税の目的で購入すると一括償却できる一方、その少額資産が本業に寄与するものでない限り端的な消費で終わっているケースは少なくありません。例として消費で消えやすい少額資産を挙げるならば以下の通りです。

実は福利厚生に程遠い動産投資

  • キャンピングカー: 車検など維持費が割高で数年後の残価もそれほど残らない
  • マリンレジャー関連 : 本業との関連が弱いと税務調査で否認されやすい

IT機器などハード面の資産

  • ハイスペックパソコン: ハイスペックと言えど端的に「雑費」として計上できる
  • 高級家具: オーダーメイドや備え付けなどの高級家具

以下は運用次第で収益化もできる節税方法として知られていますが、誰もが運用に成功するとはいいがたいレンタルスキームです。

所有資産を貸し出してレンタル料を取る仕組み

  • レンタル倉庫: コンテナを購入し貸倉庫としてスペースを提供、レンタル料を徴収。
  • 太陽光設備: 売電価格の低下リスクがあり費用対効果に見合わないケースあり

いずれも売却しようとするときに購入当時の価格がつくことはまずありませんし、転売できるかも危ういでしょう。この意味で法人の貸借対照表を強くする資産性があるとは言えない「事実上の消費」なのです。

①-3 国内外不動産

少額資産や動産投資が本質的に事実上の消費に近い性質ならば、不動産は場所やモノ次第で節税と資産性が実現できるよりよい手法です。

国内不動産

  • メリット: 築22年超の木造住宅などでキャッシュアウトのない損金・減価償却費を計上
  • デメリット: 日本の不動産市場のボラティリティリスクを前提・竣工された瞬間から価値が下落していく

築古木造住宅などはわずか4年で償却ができるものの、売却しようとすれば短期譲渡税で割高な税率が適用される。入り口で節税できたと思ったら出口で多額の税金を支払うという本末転倒なパターンになりやすい。

英米の「節税と資産防衛の両方が実現する」海外不動産

【メリット】:いずれも100年の歴史がある法制度

【デメリット】: 英米での不動産商習慣・法制度や税制が日本とは別物・為替リスクはどの国であろうと有・自己完結が難しい

上述しました少額資産や動産投資のように、いざ売却しようとしたら売値も付かず端的な消費となるケースは多くあります。

帳簿上では減価償却費というキャッシュアウトのない経費によって利益を減らしつつ、アメリカイギリス不動産のように長い不動産商習慣や法制度によって保護されるような資産に換金することは利益が出過ぎた場合の節税方法として有効です。

しかしながら海外不動産は以下のように万能ではありません。為替リスクが許容できない場合は国内不動産を選択されたほうがいい場合もあります。また、特にイギリス不動産に関しましては短期的に節税を求めている方には不向きです。

英米不動産の詳細は以下をご参考ください。

英国不動産について

米国不動産について

不動産での節税方法

世の法人不動産節税の裏ワザはあまりにありふれ、結局節税するためにお金を消費しなければならないといった本末転倒な話になりがちです。 ここではありふれた法人不動産節税に留まらない本質的な裏ワザとしてレベル ...

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②法人用の役員保険・共済

これまで法人保険や共済は法人の利益が出過ぎた場合によく活用されてきた節税方法ですが、これこそ出口に最も注意を要します。それではそれぞれメリットやデメリットを挙げますので判断されてみて下さい。

法人の役員を保険の対象とする法人用の保険・団体定期保険は、2019年の税制改正によってメリットが大幅に削られました。

法人保険のメリットデメリット・事実

  • メリット: 損金を計上
  • デメリット:8割超の返戻率のピークが来たときに解約しなければ、払戻率が下り始め解約金が減り、かつ返戻金の受領とともに課税される。長期の保険契約のうちにインフレ率が上昇し元本に棄損が起こる

法人保険にまつわる法律は2019年に法改正が入り、メリットが薄れたどころかハイリスク商品になりつつあります。

経営セーフティ共済のメリットデメリット・事実

  • メリット: 政府機関が運営している絶大な安心感
  • デメリット:解約金は雑収入として計上されるため、この時に役員退職金など大きな損金を計上しなければ、端的な納税の繰り越しになる。トータルで800万円の制限があるため、数億レベルの利益が出ている企業は焼け石に水に思える

保険や共済の返礼率は返戻し率が100%をはるかに超えることはありません。外資系の保険会社で払い戻し率が120%を超えるようなことがあったとしても、それは長い年月をかけたときの率であり、年の利回りで換算すると1%程度のケースがほとんどです。

パンフレットに記載されるメリットだけをみて、インフレ時の価値の棄損を看過してしまえば誰も会社の資金を守れません。インフレが当たり前になった国内ではもはや円だけで法人のポートフォリオを組むことすらリスクになりました

利益が出過ぎてお困りになる羨まれるような状況かと思いますので、通貨の分散も視野に入れることを検討されることをお勧めします。

③社員への報酬:給料や賞与のUP

利益が出過ぎた法人が社員に還元しようとするのは経営者として自然な考え方です。

しかしこの素晴らしい経営者としての考え方は重い税金負担を前にいとも簡単に崩れます。その理由は以下の税金や社会保険料などの負担が政府への奉仕やボランティアの感覚になってくることが多いからです。

法人が「社員全員に対して一人当たり100万円の賞与を支給し合計1億円を分配する」とします。この中で社会保険料まで含めて分配しようとすると、以下のように手厳しい壁に当たることになります。

手残りが削り取られていく理由

  • 会社側の実質負担:およそ115万円
    100万円の額面給与に対し、会社負担の社会保険料(約15%)が加算される。
  • 社員の手取り:およそ60‐70万円
    100万円の額面から、個人負担の社会保険料(約15%)と所得税・住民税(累進課税)が差し引かれる。
  • 分配の結末:
    会社が115万円を支払ったにもかかわらず、差額の約40〜50万円(4割以上)が税と保険料として消え去る。

100万円分を支給したつもりで4~5割が社会保険料や税金として消えていくのであれば、社員への還元がやるせない形になってしまっているのは否めません。

利益が出過ぎてしまったために社員に還元したいと思ったとしてもこの4~5割の負担率を目の前にすると、「税率が高い場にお金を支払う」という方法を選んでいることになります。

より税率が低いという意味で、日本の法人の実行税率は規模にもよりますが30~34%です。納税しても65%のキャッシュが残ります。

法人の経営者により価値観はそれぞれだと思いますが、納税した金額の使途は究極納税者にわかるはずもありません。この意味で法人のキャッシュの使い道はより慎重に検討を重ねるべきだと思います。

④経費を計上

利益が出過ぎたときに経費を計上して節税をするのは、端的な消費です。満足な消費とするには以下の用途が挙げられます。

  • 広告宣伝費: 売り上げを上げるためのダイレクトな経費となりやすい。しかし昨今のWEB広告は高騰傾向にあるため、単価に見合った広告となるか精査するような仕組みが不可欠
  • あくまで資産性のないリフォーム:内装を変えるなどは一定の意味がありますが帳簿上では端的な消費に過ぎません。
  • 福利厚生: 社員を大切にしている誠意が伝わります。一方でただの利益が出過ぎたときの節税で終われば無駄遣いでしかありません。

経費の計上は消費ですので、資産性は帳簿上に反映されません。これが割り切れるならば節税として実行する意味はあります。

お問合せ

利益が出過ぎた実感するとき、申告などが差し迫っていることが多いと思いますが、残らない消費をするのもよし、不動産のように資産性のあるキャッシュアウトで法人の貸借対照表を堅牢にしていくのはある程度の労力を要します。

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  • この記事を書いた人

LCFPO

公認会計士事務所での決算業務実務経験を経て、FPとして受けた相談件数は18000名以上。主に法人の節税対策となる金融商品の販売を行い、契約の継続率・販売力・商品の品質に関するインターナショナルクオリティアワードを受賞。ほか受賞歴や業界内の取材受注多。現職は資産形成・海外不動産投資案件のご相談を承るオフィスの代表FP、事業家。くわしくは「about」よりどうぞ。