
節税や利回りにとらわれ過ぎて、役員退職金の計上をするタイミングで大損をする経営者は後を絶ちません。
役員退職金の原資の準備や節税のために不動産を活用しようとする法人に向け、国内だけでなく海外の不動産を比較し、確実に現金を残せる選択肢はどういったものかを検証しています。
Contents
役員退職金準備の原資と節税対策として不動産が活用される理由
法人にとって不動産は節税対策・役員退職金準備の原資となるなど、キャッシュフロー改善の最重要項目となりえる有効対策です。
節税しようと思った法人が「結局端的な消費」によって資金を減らすことが多い一方、不動産は唯一と言っていいほど「資産性と節税」が実現する手法です。
減価償却費という「実際にはキャッシュアウトが起こらない経費」を計上することで帳簿上の損金を作り出し、利益を圧縮しながら「実物資産」という資産性を長期間保有できるからです。
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しかし当然ながらどんな不動産でもいいわけではありません。これを看過すれば損失は免れません。不動産を法人の資産に加えたその先に起こりえる「出口」を先に知っておくことが何よりも重要です。
役員退職金計上と不動産売却益の計上:経営者の出口をふさぐ5つの壁
不動産が資産性と節税を実現できる方法であることは間違いないのですが、「役員退職金計上(損金)と不動産売却益(益金)という2つの仕分けの先々」を知っておく必要があるでしょう。
①不動産売却益を退職金計上のタイミングにぶつけられるか
役員退職金という大きな損金を計上する事業年度に合わせて益金を計上することで帳尻を合わせる方法はよく行われ、この時に不動産の売却が益金の計上として候補に挙がります。
新興国のような決済や登記手続きの不透明さにより手続きが遅延することもあり、そうなれば予定していたはずの損益通算のタイミングにずれが生じ重い税負担が起こります。手続き・法規制の透明性の確保は絶対です。
②官製によるバブル崩壊
国内不動産については日本銀行の金融政策や財務省の融資引き締め指導により、簡単に崩壊してしまう構造になっています。引退のタイミングがバブル崩壊と重なれば思った通りの売却活動は実現しません。
Youtubeで官製バブルを視聴:国策の失敗ではない「描かれたバブル崩壊」の盤面
③売ろうとしたときに売れない物件になっている
利回りや目先の安さだけで不動産を選び、マクロ経済・地政学・その国の政治を軽視したことで数十年後買い手が誰もいない不動産と化しているパターン。売りたくても売却活動すら始められません。
④売却したいタイミングとその不動産市場がジャストミートするか
役員退職金の支給時期は、世代交代の時期・若手経営者の育成・経営者の体調などさまざまな要因が絡みます。そのタイミングで不動産不況に陥っていた場合、大幅な値下げをして売却するかあるいは売却自体を断念せざるを得なくなります。こうなれば損益通さの予定が狂います。
⑤法改正リスク
国内外に限らず、法改正のリスクで数十年先の出口がふさがれるリスクがあります。国内では法人の節税リスクが厳格化されたり、海外不動産の場合は送金が規制されたりするなど、法改正によるリスクはゼロではありません。
5大エリア比較:退職金原資として活用できる国はどこ?
数十年先に計上される退職金の原資の確保にあたり、インフレで通貨安が猛進する中で国内不動産だけを検討している時代ではありません。日本円が最弱の通貨となり下がっているためにこの通貨だけで法人の未来を託すのはあまりに心許なくなっているからです。
ここでは世界の不動産市場は経営者の狙いに対しどれだけの再現性を持っているのかを比較します。
| エリア | 出口の透明性 | バブル崩壊・暴落リスク | 法的・政治的リスク |
| ① 国内(日本) | 高い | 官製バブルはこれからも起こる | 低い |
| ② アメリカ | 高い | 低い | 訴訟リスクが世界一 |
| ③ 新興国 | 極めて低い | 極めて高い(過剰供給) | 高い(法改正・地盤沈下) |
| ④ ヨーロッパ大陸 | 普通 | 普通 | 普通(過剰な賃貸人保護) |
| ⑤ イギリス | 極めて高い | 低い(グリーンベルト規制) | 極めて低い(イングランド法) |
①国内不動産:財務省のコントロールで行われる「官製バブル」の恐怖
ごく最近まで起きていた都内の異常な不動産価格高騰は(多少海外投資家の影響があるものの)低金利政策を長年続けた後に突如融資を絞り出す財務省と日銀によってコントロールされており、これに抗う手立てはありません。
多くの高齢者が亡くなって空き家が増え、現役世代が激減している中、高騰したままの不動産価格が維持できる可能性は極めて低いと言わざるを得ません。
②アメリカ不動産:市場は強く良好だが最大のリスクは訴訟
アメリカ不動産市場は活発な売買が行われており、節税ニーズにマッチしたり基軸通貨アメリカドルによって法人の貸借対照表が堅牢になったりするメリットもあって日本企業の買い手も多いです。
しかしアメリカは世界一の訴訟社会であることを忘れてはなりません。賃貸人とのトラブルや建物管理上の瑕疵によって運悪く数億円規模の賠償を追うリスクと隣り合わせです。
アメリカ不動産を売却しようとするタイミングで、訴訟によって退職金の原資が削られないように万全を期す必要があります。
③新興国:初めから候補から外しておく
新興国については場所にもよりますが「節税と退職金準備の原資」を同時に実現する施策としてはリスクが高すぎるために初めから候補から除外しておくことをお勧めします。※選べば可能なエリアもあります
新興国の不動産市場として、供給過剰になったあとに転売が不可能になったり、新興国ゆえに中古市場が育っておらず転売活動が制限されるなど、日本の不動産市場からすると理解できないような動きをすることが多々あります。
ドバイにおいては、砂漠の上に埋め立てによって土地を作りその上にコンドミニアムを建築したため地盤沈下によってトラブルが長年解消されていません。新興国全般で法的な不透明さが否めないため、長期の退職金原資として選ぶには適切ではありません。
④ヨーロッパ:成熟の安定市場と思いきや賃貸人の保護で身動きが取れなくなる国々
フランス・ポルトガル・スペインなどのヨーロッパ諸国に不動産を購入する日本人はいます。一見すると成熟した安定市場に見えるものの、蓋を開けてみると「退職金出口に不向きな理由」が出てくることが多々あります。
フランス・ドイツ
フランスやドイツは一度賃貸人が入居すれば退去を促すのが困難で、家賃の値上げも法規制の上限が設定されます。滞納や退去拒否の賃貸人がいる場合は裁判で数年を要し、退職金の計上に影響するリスクが否めません。
外国人による売却益に重い税率を課すなどペナルティを設定することがあります。転売自体を政治的にコントロールしているため売却や現金化は想像以上に苦戦します。
スペイン
スペインではオクーパという不法占拠が問題になりやすくなっています。賃貸物件における不法占拠で48時間が経過してしまえば法的に強制退去させることが困難になるという、海外投資家にはとんでもルールとなっており、裁判に要する時間や費用のコストを考えると法人の退職金準備の原資には向かないと言わざるを得ません。
ポルトガル
不動産高騰によって国民の不満が爆発したことにより、ポルトガル政府が不動産投資によるビザが突如廃止され、非習慣的居住者制度も改悪されてしまった経緯がありました。
一度許可した外国人の権利を突如変更してしまった前例から、不動産に関しては安定性を欠く場です。
⑤イギリス不動産:なぜ出口の「再現性」が最も高いのか
消去法的に残るのがイギリスの不動産市場です。
国法によって都市開発が規制されているため供給過剰による暴落リスクとは無縁です。
法的透明性が高く、外国人の資産没収や税制の変更などのリスクが低く、世界中のウルトラ富裕層が最後にたどり着く資産として信頼があります。数十年の長い保有でも法の保護によって手厚く守られます。
全世界のウルトラ富裕層の買い手が後を絶たないため、「売りたいのに買い手がいない」というリスクに遭遇しません。退職金の計上タイミングに合わせて売却益を計上できると言う実務コントロールが最も現実的な不動産市場となっています。
トムクルーズ・グーグルCEOという超富裕層はなぜイギリス不動産を購入したがる?
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貴社の数十年後の出口、本当に狙った通りの損益通算が実現するかどうかは、綿密な計画ありきです。
法人節税や役員退職金の原資づくりは、利回りや端的な節税だけで決まるわけではありません。「退職金計上(損金)と不動産売却(益金)がジャストミートするか」で大きく決まります。
- 「既存の方法で狙い通りの損益通算ができるか不安がある」
- 「日本の官製バブルがまっぴら御免」
- 「『イギリス不動産』の実務スキームを具体的に知りたい」
このような経営者・財務責任者様のために、貴社の財務状況に合わせた「退職金出口シミュレーション」および個別相談を承っております。
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